電動車椅子の観光利用へ ロボット活用で販売契約 テムザック(京都)と松本(長崎)

テムザックと松本が普及を図る電動車椅子「ロデム」=長崎市内

 ロボット開発テムザック(京都市)は松本(長崎市)と販売業務委託契約を締結した。電動車椅子「ロデム」の観光利用などを想定。松本の松本博代表取締役は「新しい形で長崎観光に貢献できるのではないか」としている。
 テムザックは1993年から、医療・介護・災害救助・建築など危険性や重労働、人手不足といった課題を抱える現場で、人の作業を代替するロボットを「ワークロイド」と称して受注開発してきた。
 松本は保険代理業をはじめ、事務作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)事業、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業を展開している。今回の契約に基づき、企業や団体に対し、テムザックの量産ロボットやオーダーメードロボットを提案する。
 ロデムは座面が電動で上下し、ベッドや椅子から移乗しやすい。馬乗りの格好で座ったまま、歩行者に近い目線の高さで会話ができる。テムザックの川久保勇次社長は「通常の車椅子は前から乗り込むが、ロデムは後方からなので高齢者や障害者にとって負担が少ない」という。この方式で日米中など11カ国の特許を取得した。
 全長1メートル、全幅69センチ、全高92センチ。体重130キロの人まで対応できる。ジョイスティックで操作し最高時速6キロ。前輪は分割した形状で、前方を向いたまま一部が横方向に回転する特殊構造をしており、後輪を軸にその場で旋回し、後進も可能。運転免許は必要なく、歩道や路側帯を走行。屋内でも利用できる。
 東京駅前に3月開業した「東京ミッドタウン八重洲」発着の街巡りツアー「まちモビ」に複数導入され、6月から運用を開始。観光ガイドが引率し、外国人客らに好評という。他都市でも実証実験を行い計約50台の販売実績があるが、九州にはまだない。

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