東武バスが奥日光の脱炭素化貢献へ バイオ燃料で実証運行 地産地消目指し廃食油活用 来春までデータ収集

実証運行のため東武日光駅を出発するバイオ燃料バス

 東武鉄道グループの東武バス日光(東京都墨田区)は1日、廃食油由来のバイオ燃料を使用したバスの実証運行を日光市内で始めた。来年3月末まで実施し、車両機器への影響や燃料効率などを検証。地産地消型のエネルギーサイクルを目指す。

 実証運行に使用するバスは、観光用(45人乗り)、中型(57人乗り)、大型(74人乗り)の3台。東武日光駅-中禅寺温泉間などの路線で通常運行し、データなどを収集する。同社が所有する全34台でバイオ燃料を導入した場合、「年間70トンのCO2削減が見込める」としている。

 燃料は、廃食油を使った油5%、軽油95%からなる国の規格を満たしたバイオディーゼル燃料「B5」を使用する。将来的には、ホテルや観光施設など県内の東武グループ各施設で生じる廃食油を集め、バイオ燃料を精製する仕組みを構築する考えだ。

 環境省は今年4月、奥日光地域を対象エリアに温泉熱を活用した脱炭素化など、市と東武鉄道、東京電力パワーグリッド栃木総支社の共同提案を評価し、「脱炭素先行地域」に市を選定した。東武バスの田端将之(たばたまさし)運輸統括部長は「奥日光の脱炭素化に貢献したいと考えている。実証運行はその取り組みの一環」とした。

 東武日光駅前で実証運行に使用するバスの出発式が行われ、出席した粉川昭一(こなかわしょういち)市長は「脱炭素化の推進は行政だけの力ではできない。今回の取り組みは、民間と市が一体となった取り組みとして大きな期待が持てる」と話した。

実証運行で使用するバイオ燃料(右)

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