犬の歯磨きをやりすぎるとどうなる?3つのリスクと健康な歯を守る適切な頻度・時間とは?

1.歯が摩耗する

歯磨きをやりすぎると、犬の歯がすり減ってしまうことがあります。歯磨きの頻度が多すぎたり、強い力で磨きすぎたりすると歯の表面が削られたり、傷ついてしまったりするので気をつけましょう。

おもちゃを噛んだりおやつを食べたりすることで、歯が摩耗することはありますが、わずかに削られる程度であれば、自然に象牙質が生成されて修復されるとされています。

しかし、急激に歯がすり減ってしまうと神経が露出したり、歯の表面に傷がついて汚れが溜まりやすくなったりもします。

人の手で歯磨きをする程度では、神経がすぐに露出するほど歯が摩耗することはないと思いますが、過度な歯磨きを続けているとすり減ってしまい、何か硬いものを噛んだときに歯を痛めてしまうリスクが上がります。

2.歯ぐきを痛める

犬の歯磨きで注意したいのは、歯だけでなく歯ぐき(歯肉)への過度な刺激です。歯ブラシで強く歯を磨いたり、歯磨きをしすぎたりすると、歯ぐきに傷がついてしまいます。出血したり、傷から雑菌が入ったりすることもあるので、歯磨きをするときは優しい力で磨くようにしてください。

また、歯ブラシやガーゼなどで歯磨きをする場合、乾いた状態でこすると歯ぐきを傷つけやすいので気をつけましょう。たっぷりと水で濡らしたり、歯磨きジェルを使ったりして歯や歯ぐきへの摩擦が強くなりすぎないようにしてください。

3.犬と飼い主さんの関係が悪くなる

歯磨きが苦手、もしくはあまり好きではない犬は多いと思います。短時間でささっと済む場合であれば我慢できても、長時間歯磨きをし続けたり、頻度が多かったり、痛みや不快感を伴う強さで磨かれたりすると、歯磨きに抵抗感を持つようになることはめずらしくないでしょう。

犬が嫌がっていても強引に歯磨きを続けたり、苦手だとわかっていて頻繁に歯磨きをしたりすると、犬は飼い主さんに対して「なんで嫌がっているのに気付かないんだろう」と不信感を持つようになることもあります。

また、歯磨きで嫌な思いをしたことで、飼い主さんに触られること自体を嫌いになってしまうこともあります。歯磨きをしようと近づいたり、顔に触ったりすると威嚇したり噛みついたりするようになることもあるので、歯磨きは決して無理強いしないようにしましょう。

犬の歯磨きの適切な頻度・時間

犬の歯磨きは、基本的に毎日おこなうことが推奨されています。犬の場合、歯磨きなどで取り除ける歯垢が、簡単には取れなくなる歯石になるまで3~5日程度かかると言われているため、1日1回きちんと歯磨きができれば歯石がつくことは防げるでしょう。

ただし、歯の汚れをしっかりと取り除くためには、とても時間がかかると思いますし、そのせいで犬が歯磨きを嫌いになってしまうこともあります。

大切なのは、犬が歯磨きを嫌がらないようにすることと、歯磨きを継続しておこなうことです。そのためには、毎回しっかりと歯磨きを完了させることにこだわりすぎず、犬が嫌がらない程度に短時間で済ませてあげてもいいでしょう。

1日1回長時間歯磨きをするのではなく、朝晩に分けてそれぞれ短い時間で終わらせるのもいいと思います。また、毎日歯磨きをするのが難しい場合は3日に一度にするなど、歯磨きの頻度を減らしてもかまわないので、できるだけ継続しておこなうようにしましょう。

まとめ

歯や歯ぐきの状態は、犬の全身の健康にも大きな影響を与えます。そして、健康的な歯を守るためには、歯磨きをするなど自宅でのこまめなケアをすることがとても大切です。

ただし、歯磨きをしすぎると、歯や歯ぐきを痛めてしまったり愛犬に嫌な思いをさせてしまったりすることがあるので、気をつけましょう。

歯磨きをしているときの犬の様子を確認しながら、無理のない程度におこなうようにしてくださいね。

(獣医師監修:寺脇寛子)

© 株式会社ピーネストジャパン