大規模災害に備え、茨城県は2日、風水害図上訓練を行った。地震に伴う土砂崩れと台風時の河川氾濫が同時発生する複合災害を初めて想定した。県と関係機関が連携して情報収集し、人命救助を最優先とする対処法の判断など、災害対策本部の対応力向上を図った。
県職員のほか、自衛隊やいばらき消防指令センター、各自治体の消防本部などから計119人が参加。事前にシナリオを知らせないブラインド方式で実施した。
訓練は、昨年12月に運用が始まった「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発令され、台風も接近する状況の下、土砂災害と洪水被害が相次ぎ発生したとの想定で実施された。
災害対策本部事務局を設け、情報班や対策班など八つの班ごとに対応。被害の情報を参加者全員で共有し、状況を分析して対応するとともに、関係機関と協力して迅速な救助隊派遣や避難者支援の手配、救援物資の要請に当たった。
河川の水位上昇の確認は、国土交通省の河川監視カメラを初めて活用。ライブ配信の映像を対策本部の大型モニターに映し出し、職員らが被害状況を目視で確認することで、的確な被災対応に役立てた。
6月初めの大雨被害を受けた対応では、発生の把握が難しい内水氾濫をいち早く察知するため、指令センターが119番通報件数を報告した。浸水被害に見舞われた取手市双葉地区からは当時、多くの119番通報が寄せられたことから、積極的に通報件数を確認する手法を試みた。
災害対策本部事務局長を務めた山崎剛防災・危機管理部長は「各地で被害が多発する状況を想定したが、職員が全体像の把握に苦慮した。映像や地図で情報を共有する工夫など、訓練を今後の災害対応に生かしていきたい」と述べた。
県庁内の4部局も実働訓練を実施。県土木部は独自に災害対策本部を設け、常陸太田市の里川と北茨城市の大北川でドローンを使って堤防などの被害状況を確認した。県企業局は浄水場6カ所で応急給水訓練などを行った。