森田茂展 「黒川能」あふれる躍動感 茨城・筑西の廣澤美術館

企画展で展示された森田茂氏の「黒川能・白頭獅子」=筑西市大塚

文化勲章受章者で茨城県筑西市出身の洋画家、森田茂氏(1907~2009年)のライフワークを紹介する企画展「黒川能に魅せられた画家 森田茂展」が3日、同市大塚の廣澤美術館で始まる。山形県庄内地方に伝わる郷土芸能「黒川能」を題材とした代表作を中心に、風景・静物画など32点が並べられた。特に作品からあふれ出る風景・人物の躍動感に光を当て、森田氏の絵画の魅力に迫っている。

開幕前日の2日、報道機関向けに内覧会が開かれた。作品はいずれも同館を運営する広沢グループの広沢清会長のコレクション。

森田氏は1966年に黒川能を初めて目にし、農民が祭りと一体化した素朴さと土着性に感銘を受けた。自ら能を習い、迫力ある作品を生み出す原動力としながら、黒川能を主題とした多くの作品を描き続けた。

今回展示された32点のうち、黒川能の作品が18点を占める。「黒川能・白頭獅子」は、能の演題「石橋」に登場する獅子が描かれている。絵の具を塗り重ねて作る重厚な作風と、抽象化された表現が目を引く。広報担当で広沢商事(同市)の田原一哉観光部長は、「自由闊達(かったつ)な筆遣いで代表的な作風を表している」と説明した。

このほか、森田氏が描いた富士山やイタリア・コモ湖の風景画、ボタンの静物画なども展示されている。会期は10月1日まで。

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