タイ「アカ族」子の識字率向上を 長崎の税理士らNPO法人設立へ 将来に希望持てるようにしたい

伝統の衣裳を身にまとった子どもたちと交流する岡村さん=タイ・チェンライ(本人提供)

 タイ北部に暮らす少数民族「アカ族」の子どもたちの教育を支援しようと、長崎市の税理士、岡村康司さん(68)が中心となりNPO法人設立へ動きだしている。識字率の向上に向け、子どもたちが生活する施設の環境改善を進め、将来的に「就労して国籍を取得し、将来に希望が持てるようにしたい」としている。
 タイ政府観光庁のウェブサイトなどによると、アカ族はミャンマーから紛争などを避け1970年代に移住。タイ北部全体で推定6万5千人がおり、国籍がないため満足な教育を受けられない子どもたちが多い。タイ語の習得や読み書きができないと就職も難しく、貧困から抜け出せない現状があるという。
 岡村さんは4年前、子どもたちを支援する現地の国際ロータリークラブ元会長、原田義之さんを通じ窮状を知った。長崎、佐賀両県を束ねる第2740地区のロータリー会員である岡村さんは、クラブの活動として246万円の寄付金集めに奔走。昨年、首都バンコクから約780キロ北のチェンライ県にある子ども寮「センスック」のトイレ棟新築や食堂などの設備改修のほか、防寒具の購入に充てた。
 岡村さんは今年6月の完工式に合わせ、初めて現地を訪問。貧しさに負けず生き生きと目を輝かせる子どもたちから手を合わせて感謝の気持ちを伝えられ、胸がいっぱいになった。顔つきや食文化など、日本と共通するものも多いという。
 息の長い支援のためには、賛同者を一人でも増やす必要がある。同国で鉄道車両の技術支援などをしている「長崎きしゃ俱楽部(くらぶ)」代表世話人、吉村元志さん(66)らとNPO法人の設立を決意した。吉村さんも現地の要望を聞き取り、生活の質向上に力を尽くす考えで「元気で動き回れるうちに、人のために少しでも役に立てたら」と話した。
 今秋の設立を目指し、賛同者を募っている。問い合わせは岡村さん(電090.8224.3860)

アカ族の子どもたちを支援するため準備を進める岡村さん(右)と吉村さん=長崎市魚の町

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