エアコン猛暑でダウン 富山県内の電気店に修理依頼続々

廃棄するエアコンをトラックに積み込む従業員=富山市内の電気店

  ●「命の危険」休日返上で対応

 記録的な猛暑が続く今夏、富山県内の家電量販店や電気店にエアコンの修理依頼が殺到している。各地で連日のように最高気温が35度以上の猛暑日となり、昼夜なく長時間の稼働を強いられ、エアコンの故障が続出。全国では、高齢者が自宅で熱中症のため死亡した事案も発生しており、事業者は「命の危険がある」と緊張感を持ち、休日返上で対応に当たっている。

 「エアコンから冷気が出なくなった」。富山市の100満ボルト富山布瀬店では7月中旬以降、修理や買い替えの相談が相次ぐ。1日に10件ほど寄せられる日もあり、例年の夏と比べて2倍ほどに増えている。

 部品交換などの修理が必要な場合はメーカーに連絡して対応を任せているが、メーカーも手が回らず、訪問までに数日掛かる状況で、急きょ、買い替える人も少なくないという。

 県内の電気店約120店が加盟する県電機商業組合によると、気温が高い夏場はエアコンの室外機から熱を放出しきれず、機器に負荷が掛かりやすい。直射日光が当たらないよう日よけを設置したり、フィルターをこまめに掃除したりすると故障防止になるとした。

 全国で熱中症による死者が相次いでいる。7月下旬に東京で91歳と84歳の夫婦が自宅の寝室で死亡しているのが見つかった。富山市でも同29日に55歳の男性が駐車場で倒れて死亡した。

 富山市西田地方町の電気店「ケィ・ディック」には7月以降、1日2~4件の修理依頼があり、例年と比べて5割ほど増えている。基本的に依頼を受けた日に社員が訪問し状況を確認している。休日返上で対応し、午後9時を過ぎてから駆け付けたこともある。

 黒田保光社長は「高齢者は暑さに気付きにくい。地域密着の電気屋として放っておけない」と話した。

 富山市水橋中村町の電気店「河合デンキ」にも例年の夏より5割ほど多く修理依頼が寄せられている。外回りの社員6人がフル稼働で修理や取り換えに奔走。河合幸弘社長は「一刻も早く対応するようにしている」と力を込めた。

 家庭向けのほか、事業所向けの空調設備の修理依頼も増えている。富山市上赤江町の柿本商会富山支店では7月の依頼が125件を数え、前年同月19%増となった。

 同支店では県内の病院や介護福祉施設、工場などの空調設備の維持、管理などを扱っている。富山市内の物流倉庫の空調設備が作動しなくなったこともあり、即座に対応した。担当者は「冷房が効かないと大変な影響が出るところも少なくない。メンテナンスを含めてしっかり対応したい」と気を引き締めた。

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