滋賀・彦根の「ご当地ナンバー」導入断念へ 賛成派も多いのになぜ?

彦根市と甲良町が当初の住民アンケートで示したご当地ナンバープレートの図柄案

 車のご当地ナンバー「彦根」の導入について、住民アンケートで反対意見が過半数を占めた滋賀県甲良町はこのほど、国に申請取り下げを求める文書を提出すると発表した。3月に連名で申請した彦根市は、町の提出方針に「同意する」とし、今回のナンバー導入は事実上断念する方向になった。

 彦根市の和田裕行市長と甲良町の野瀬喜久男町長が同日、市役所で対談し、互いのスタンスを確認した。両市町は近く、それぞれ、国への申請を介した滋賀県宛てに文書を提出する。

 町側の文書はアンケート結果を踏まえ、「対象地域で住民の合意形成が図られている」とする導入要件に該当しなくなったとする内容。ただ将来的な彦根市の申請再チャレンジの可能性に配慮し、「今回の取り下げに伴い、不利益な扱いを受けないよう」求める。

 対談後、野瀬町長は「申請取り下げは異例で、彦根市民には申し訳なく思う」と述べた。和田市長は「町が取り下げることは残念だが仕方ない」と受け止め、引き続き市単独でも導入を目指す考えを示した。市民にはナンバー導入へ賛成派が多く、「あきらめたわけではなく、何とか実現の方向を考えていきたい」と語った。

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