今年6月、愛媛県松山市で、元交際相手の男性の背中をナイフで突き刺したとして、傷害の罪に問われた女の初公判が4日、松山地裁で開かれ、女は起訴内容を認めました。裁判は即日結審し、検察側は懲役1年6か月を求刑しました。
起訴状などによりますと、松山市北斎院町の無職・吉井八重子被告(56)は今年6月4日午後5時頃、松山市枝松にある集合住宅の一室で、元交際相手の住人男性(70代)の背中を刃渡り約10センチのナイフで突き刺し、全治約1週間の傷害を負わせたということです。
吉井被告は当初、殺人未遂容疑で逮捕・送検されましたが、傷害罪で起訴されていました。
松山地裁で開かれた初公判で、吉井被告は「間違いありません」と起訴内容を認めました。
この後の冒頭陳述で検察側は「男性が現在の交際相手の所へ向かおうとしていると思い込み、止めたが、取り合ってもらえなかったため」と犯行の経緯を明らかにしました。
裁判は即日結審し、検察側は「ナイフでいきなり内臓が集中する背中を刺し、臓器を損傷する危険性があった」と指摘した上、「『ナイフを手にしたのは男性を脅すためだった』という被告の供述も信用できない」と述べました。
そして「被害者には何の落ち度もなく一方的で理不尽な犯行だ」として、懲役1年6か月を求刑しました。
一方の弁護側は「被害者の処罰感情は大きくなく、また、傷つけようという積極的な意図もなかった」などとして、保護観察付きの執行猶予判決を求めました。
判決は来月4日に言い渡される予定です。