2022年度銀行の年間給与 平均617万8,000円、前年比11万円増 トップはあおぞら銀行が15年ぶりに返り咲き

~ 国内69銀行 「平均年間給与」調査 ~

国内69銀行の2022年度の平均年間給与(以下、年間給与)は617万8,000円(中央値613万7,000円)で、前年度の606万8,000円(同606万円)から11万円(1.8%増)増えた。
調査を開始した2005年度以降で、増加額・増加率ともに最高を更新した。給与所得者の平均給与(正社員)508万4,000円(国税庁、令和3年)を109万4,000円上回り、銀行の給与水準の高さを示した。
年間給与のトップは、あおぞら銀行の869万6,000円(平均年齢43.8歳、前年823万2,000円)で、2007年度(962万3,000円)以来、15年ぶりにトップに返り咲いた。

前年度トップの三井住友銀行は842万8,000円で2位にダウンした。上位10行では、前年17位の中国銀行が8位にアップし、前年9位の七十七銀行は11位にダウンした。
業態別は、大手行793万4,000円(前年773万9,000円)、地方銀行631万6,000円(同619万5,000円)、第二地銀548万2,000円(同541万円)と全業態でアップしたが、業態間の格差は広がった。
69行のうち、8割超(84.0%)を占める58行(同39行)で年間給与がアップした。かつて銀行は公務員と並ぶ安定先として人気だったが、近年は若手行員の離職が目立つ。だが、コロナ禍で中小企業の経営改善や事業再生など、これまでになく銀行の果たすべき役割が重くなっている。金融サービスと情報技術を結び付けたフィンテックの推進で人員削減が進む一方、新卒や経験豊かな中途採用の人材確保も急務で、今後も銀行の給与アップは進むとみられる。

※本調査は、国内69銀行の2022年度の有価証券報告書で、従業員数、平均年間給与(基本給与+賞与・基準外賃金)を集計、分析した。対象は、データを公表した大手行6行、地方銀行40行、第二地銀23行の合計69行。


銀行の年間給与617万8,000円、増加幅は過去最大の11万円

国内69銀行の2022年度の年間給与は617万8,000円で、賃上げ機運を背景に前年の606万8,000円から11万円(1.8%増)増加した。中央値は613万7,000円で、前年度の606万円から7万7,000円増。
年間給与は、大手行が全6行(前年度3行)、地方銀行40行のうち35行(同20行)、第二地銀23行のうち17行(同16行)の合計58行(構成比84.0%、前年度39行)で増加した。2年連続で年間給与が増えた銀行が、減少した銀行の数を上回った。
69行の年間給与のピークとなる2006年度の648万3,000円(中央値653万9,000円)に、30万5,000円届かなかった。
業態別は、大手行が793万4,000円(前年比19万5,000円増)、地銀が631万6,000円(同12万1,000円増)、第二地銀が548万2,000円(同7万2,000円増)で、全業態で増えた。
ただ、大手行との差は、地方銀行が161万8,000円(前年度154万4,000円)、第二地銀が245万2,000円(同232万9,000円)と、業態間の給与格差は一段と拡大した。

増加額トップ 中国銀行の70万円増

個別銀行の年間給与の増加額は、最高が中国銀行の70万円増(653万4,000円→723万4,000円)。次いで、あおぞら銀行46万4,000円増(823万2,000円→869万6,000円)、阿波銀行32万7,000円増(636万9,000円→669万6,000円)、武蔵野銀行(628万1,000円→659万9,000円)と沖縄海邦銀行(487万5,000円→519万3,000円)の各31万8,000円増の順。
一方、最も減少したのは、佐賀共栄銀行の66万7,000円減(542万3,000円→475万6,000円)。以下、富山第一銀行22万2,000円減、島根銀行10万7,000円減と続く。
平均年齢を基にした年代別の年間給与トップは、40歳以上があおぞら銀行869万6,000円(平均年齢43.8歳)、39歳以上40歳未満が三井住友銀行842万8,000円(同39.4歳)、38歳以上39歳未満が静岡銀行753万3,000円(同38.9歳)、38歳未満が福岡銀行723万4,000円(同36.4歳)だった。

行員数 6年ぶりに増加

69行の行員数合計は18万4,853人で、前年度の18万4,795人から58人増加し、6年ぶりに前年度を上回った。
業態別では、大手行が9万7,691人(前年度比2,413人増)で、5年ぶりに増加した。一方、地方銀行は6万9,481人(同1,689人減)で6年連続、第二地銀は1万7,681人(同666人減)で7年連続で、それぞれ減少した。
行員数の増加は、大手行2行(前年度2行)、地方銀行6行(同4行)、第二地銀1行(同4行)の合計9行(同10行)。

平均年齢 初めて40歳台に上昇

69行の行員の平均年齢は40.0歳で、前年度の39.8歳より0.2歳上昇した。40歳台は調査を開始した2006年度以降、初めて。専門性の高い人材の中途採用を強化し、2018年度から5年連続で平均年齢が上昇をたどっている。
業態別は、大手行41.0歳(前年度比+0.6歳)、地方銀行40.0歳(同+0.3歳)、第二地銀39.8歳(同+0.1歳)で、それぞれ上昇。
平均年齢の上昇は、大手行が全6行(同5行)、地方銀行が27行(同27行)、第二地銀が13行(同14行)の合計46行(同46行)。

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