全国高校総合体育大会(インターハイ)第14日の4日、ボクシング男子ライトウエルター級の秋元啓介(青森山田)は決勝で判定負けし、昨年のライト級に続くインターハイ2階級制覇はならなかった。表彰式後、首にかけられた銀メダルをしばらく見つめた。「欲しい色じゃないメダルで終わってしまった」。春の全国選抜決勝で敗れた吉住(宮崎・日章学園)に再び屈し、肩を落とした。
「実は大会前から左肩をけがしていた」(八戸監督)という秋元。身長185センチと頭一つ違う難敵に、右手一本で立ち向かった。
戦術が限られる中でどう戦うか-。巧みなステップワークで決定的なパンチをもらわず、右手でポイントを稼ぐことを徹底した。第1ラウンドは作戦がはまり、5人のジャッジ全員が秋元を支持した。
潮目が変わったのは第2ラウンド。長いリーチを生かした攻撃をしていた相手が、右ボディーに対して距離を詰めて反撃。有効打を的確に決められ、逆転を許した。
秋元は「2ラウンドからは攻め方を失敗した。集中力も切れてしまった」。ジャッジの判定は1-4。全員が1ポイント差の採点と大接戦だった。
昨年、ライト級を制して追われる立場になり、「すごく対策されていると感じた」と今大会を振り返った秋元。夢の五輪金メダルをつかみ取るため、「自分はやっぱり弱い。この弱さをもっとかみしめて、100倍練習して強くなりたい」と、最後は上を向いた。