サザエ密漁、能登海保が6人聴取 7月下旬から珠洲で200個

珠洲市高屋地区の海岸に設置された密漁禁止を呼び掛ける看板。この近くでサザエが採取されたとみられる=同市内

  ●レジャー感覚、後絶たず 漁協告訴へ

 珠洲市の海岸で、7月下旬から8月上旬に計4回、約200個のサザエが密漁されていたことが6日、漁協関係者などへの取材で分かった。市北部の高屋地区では133個が被害に遭い、石川県漁協すず支所は漁業法違反の疑いで告訴する方針で、能登海上保安署がすでに6人から事情を聴いている。豊かな海が広がる能登では夏場にレジャー感覚で水産物が違法に採取されるケースが後を絶たない。

 県漁協すず支所などによると、高屋地区では7月23日、サザエ133個とアワビ1個が密漁された。いずれも支所の組合員が稚貝を放流して育ててきた貝類で、関東から訪れたマリンレジャー客が採取したとみられる。

 その後、8月1日までに、同市蛸島町など3カ所でサザエやアワビの被害が確認された。能登海保は漁業法違反の疑いがあるとみて、採取したレジャー客らを事情聴取。中には市外から来た家族連れが支所の資源だと知らずに取ったケースもあったという。

 すず支所は「密漁の認識がなかったとしても、われわれの漁業権を侵害する行為には毅然(きぜん)と対応する」(山崎幸治参事)として、8月末の役員会で告訴を決める。

 密漁は2020年の漁業法改正で罰則が強化され、地元の漁業組合などが独占的に採取できる「漁業権」が設定されたサザエなどを採取した場合、100万円以下の罰金が科される。

  ●能登町でも被害

 すず支所は昨年、珠洲市内の海岸18カ所に密漁禁止の看板を新たに設けたものの、能登半島沿岸の岩礁は人目につきにくい場所が多く、レジャー客で海辺がにぎわう夏になると被害が相次ぐ。

 今夏は能登町の県漁協能都支所の管轄内で5件、小木支所でも1件のサザエの密漁被害が報告されており、能登海保が捜査している。

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