野良猫の不妊専門クリニック開業を 長崎さくらねこの会 CFで資金協力呼びかけ

地域猫活動を視察する田上市長(当時)に「野良猫の不妊化を行うクリニックが不足している」と訴えた山野さん(右)=4月3日、長崎市、中島川公園

 一般社団法人長崎さくらねこの会(長崎市)は、野良猫の不妊化手術を専門に行う「スペイクリニック」の開業を目指し、クラウドファンディング(CF)を活用した資金調達に挑戦している。同市の猫の殺処分数は2021年度、全国62の中核市でワースト。代表理事の山野順子さんは「殺処分されているのは子猫がほとんど。プロジェクトを成功させ、人と猫が共に生きられる長崎にしたい」と協力を呼びかける。
 捨てられていた子猫を救えなかった後悔から17年にボランティアを始めた山野さん。同市魚の町などで野良猫を捕獲して不妊化し、地域に戻した後も餌やトイレの管理などを行う地域猫活動に取り組み、市内に譲渡用と終生飼育のシェルター機能などがある施設「咲く猫plus(プラス)」を今春開設した。
 ただ、活動の場を広げる中で壁にぶつかることも。その一つが野良猫の不妊化に対応するクリニックの少なさ。4月上旬、地域猫活動の現場を視察した田上富久市長(当時)に山野さんは訴えた。「協力的な先生(獣医師)はいるが、足りない。依頼しても2週間待つこともある」
 不妊化が重要なのは猫の繁殖力が驚異的だからだ。環境省などによると、雌は生後4~12カ月で産めるようになり、発情期は年に2~4回、多い場合は一度に8匹程度産むという。山野さんは「不幸な猫を減らすには不妊化が鍵」と考えるが、クリニックを持たない愛護団体では解決できない問題に、もどかしさを感じていた。
 そんな時、知り合いの獣医師から「野良猫を助けたいんだよね。だったら前に進んだらいいよ」と助言された。「勇気をもらえた」とクリニック開業に向け動き出した。
 CFの目標金額は600万円。募集期間は17日午後11時まで。6日時点で約230万円が寄せられているが、支援金を受け取れるのは目標額に達した場合のみだ。
 山野さんは「子どもの時に拾ってきた猫を『捨てなさい』と言われた経験がある人もいるはず。そんなときに猫を助けられるクリニックを目指したい。愛護団体だからこそできることがあると思う」と語った。
 CFサイトのURLは、https://readyfor.jp/projects/121890

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