谷地、カヌー4冠・全国高校総体 男女200K4・K2、学校対抗でも頂点

〈カヌースプリント女子カヤックフォア200メートル決勝〉接戦を制し優勝した谷地の(手前右から)鈴木葉月、鈴木紅葉、阿部未侑、長瀬ほのか=西川町・月山湖カヌースプリント競技場

 全国高校総体(インターハイ)は6日、西川町の月山湖カヌースプリント競技場でカヌーが行われ、スプリント200メートルの男子カヤックフォアで谷地(太田隆斗、荒木啓佑、設楽大樹、荒木遥貴)が33秒483で優勝し、同ペアは太田・荒木啓(谷地)が35秒758で500メートルに続いて栄冠を手にした。女子カヤックフォアは谷地(鈴木葉月、鈴木紅葉、阿部未侑、長瀬ほのか)が39秒244で頂点に立ち、同ペアは鈴木葉・鈴木紅(谷地)が42秒062で制した。谷地は学校対抗の男子、女子ともに頂点に立った。

【ハイライト】有終、感覚重ねて

 「やっと勝てた」。自艇が先頭でフィニッシュラインを越えると、4人の選手は拳を突き上げた。カヌースプリントの女子カヤックフォア200メートル決勝で頂点に立った谷地(鈴木葉月、鈴木紅葉、阿部未侑、長瀬ほのか)。インターハイの同種目で2年連続で敗れ苦杯をなめたライバル宮崎商に0秒3差で勝利し、喜びと安堵(あんど)をかみしめた。

 手応えを秘めて挑んだ。準優勝に終わった4日の500メートルの同種目では、中盤にかわされたものの、スタートは抜け出すことができた。「200メートルは勝てる」。自分たちを信じてスタートラインに付いた4人は、今回も息の合ったパドルさばきで飛び出して、先頭に立った。ライバルは懸命に追いすがる。「無我夢中で腕を回した」と鈴木葉。振り切って雪辱を果たした。

 昨年9月のチーム結成時には、なかなか動きが合わなかった。先頭以外の3人が目をつぶってこぎ、感覚を合わせる練習を繰り返した。皆で全国トップになるためだった。「フォアに一番懸けていた。うれしい」という鈴木葉は、先に行われた同シングルで3位、妹の紅葉と出場したペアで優勝した。フォアに向けて「気持ちも高まり、良い流れで臨めた」と喜んだ。

 唯一の2年の鈴木紅は「先輩たちと優勝して終わることができて良かった」と笑顔。阿部は「チームの強みの根性を出せた」、長瀬は「6年間のカヌー人生で一番うれしい」。有終の美を飾った4人の表情には、充実感にあふれていた。

【スポット】入念、プラン通り

 悔しさと勢いをフォアにぶつけた。カヌースプリント200メートル男子カヤックで、谷地(太田隆斗、荒木啓佑、設楽大樹、荒木遥貴)はスタートで飛び出し、他艇を制し1位でゴールした。2日前の500メートルフォアで4位に終わり、直前の200メートルペアでは太田と荒木啓が優勝。狙った最終種目で栄冠を手にし、4人は歓喜の雄たけびを上げた。

 コンディションは追い風。これを生かすスタートが最大のポイントと踏んだ。芦野貴士監督が示したプランも先行逃げ切り。4人は鋭く前に出た。「トップで出ることができた」と太田。荒木啓は「レース前のアップで、パドルをこぐ回転数を上げるよう意識したら、驚くほどにスタートが決まった。本番で再現できた」。入念な準備も光った。

 この日、ペア以外に太田はシングルにも出場し、2位となった。自身もペアにも出た2年の荒木遥は「先輩はレースが多かった。少しでも推進力が増すようパドルをこぐタイミングを合わせることを意識した」。それぞれが役割を果たし、艇は中盤以降も加速した。フィニッシュラインを通過すると、太田の「よっしゃー」の声に、全員が万感の思いを込めて合わせた。

 設楽は「誰よりも努力をしてきた―と自分に言い聞かせていた。意地で勝ち取った優勝」と表現し、荒木啓は「自分たちにできることを積み重ねた結果」と顔をほころばせた。芦野監督は「選手の頑張りを褒めたい」。たくましく成長したその姿に、目を細めていた。

〈カヌースプリント女子カヤックペア200メートル決勝〉優勝し笑顔で手を振る谷地の鈴木葉月(左)と鈴木紅葉
〈カヌースプリント男子カヤックペア200メートル決勝〉トップでゴールし雄たけびを上げる谷地の太田隆斗(右)と荒木啓佑

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