「石仏はなぜそこに...」独自考察で自費出版 日光・歴史愛好家の吉野さん

「日光地方の石仏」を出版した吉野さん

 【日光】瀬川の元市職員で歴史愛好家の吉野薫(よしのかおる)さん(74)が「日光地方の石仏」を自費出版した。30代の時から100カ所近くを訪れ、写真やデータを集めた石仏が「なぜそこに立っているのか」と独自の視点を当て考察した。著書は「日光の三神」「日光開山 勝道上人事跡の謎」に続き3冊目となる。

 36歳の時、カメラを買ったことをきっかけに、石仏の写真を撮り始めた吉野さん。出版は3冊目だが、石仏は「いわば原点」と話す。

 当初は石仏ごとに所在地や大きさなどのデータを収集していた。ただ、そうしたデータなどは既に自治体が冊子などにしていたため、「立っている場所に注目した」という。

 「例えば山の頂。空に近く、神に最も近いとして信仰性のある場所とされる」。村境などで疫病や悪霊の侵入を防ぐとされる道祖神のように「信仰性のある場所と石仏の持つ信仰が合致した場合、そこに石仏が立つ」と考え、石仏や場所の特徴、配置図など300ページを超すボリュームでまとめた。

 著作3冊のテーマはいずれも日光にまつわるもの。その理由は「やはり郷土愛」という。既に次作の構想もあり「次は日光の民話や伝説、言い伝えを研究したい」と意欲的だ。

 「日光地方の石仏」は100部発行。1400円。希望者は吉野さんに連絡する。(問)吉野さん070.4112.4423。

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