広島市の老舗写真館が “破産” 利用者「ショック」 大学は相談窓口を設置 救済措置に乗り出す企業も

もうすぐ創業100年を迎えるはずだった、老舗写真館が”破産”。成人式や結婚式など、人生の晴れ舞台を迎える人たちの間に、その余波が広がっています。

木谷香織さん
「すごく悲しいです。怒るとかいうよりは、悲しいなっていう感じです。すごい楽しみにしてたから、ずっと」

広島市西区に住む木谷香織(きたに・かおり)さん。コロナ禍の2年前から楽しみにしていた、結婚式のアルバムが完成しないのでは、と心配しています。アルバムの料金は、撮影やデータと合わせて35万円。

木谷香織さん
「この形がすごいかわいくて、本物を見たときに一目惚れしたので。一生に一回だし、高くてもいいんじゃないってことで」

結婚式を挙げたのは今年4月。その後、送られてきた800枚近いデータから、気に入った75枚を選んで、大切な1冊に仕上げるというもので、木谷さんは、注文の途中でした。支払いは済ませていますが、式場とは連絡がつかなくなったといいます。

木谷香織さん
「式が終わりたてで、データ待っている人とかは、すごくショックなんじゃないかなと思って。式がこれからだったのに、突然なくなった人とかに比べたら、すごくましなんだろうなと、今、日々言い聞かせている感じで」

式を挙げたのは、広島市東区のベルフリーガーデン。アルバムのできあがりが心配される理由は、運営する会社「シャイン」が破産したためです。

シャインは、老舗写真館「コマエ写場」の関係会社です。コマエ写場は1926年(昭和元年)に創業し、百貨店やショッピングモールなどに出店していました。帝国データバンクによりますと、コロナ禍で売上が落ち込んで経営破綻し、関係会社のシャイン、プロフェッショナルフォトサービスと合わせて、負債総額はおよそ20億4000万円にのぼります。

コマエ写場で予約していた女性
「本当に驚きと怒りですね。何の連絡もないので」

こちらは、娘の成人式のために振り袖のレンタルと前撮り写真の予約をしていた女性。金額は全部で31万円。振り込み済みです。今年1月に、大学生協の紹介でコマエ写場本店に行き、1年後の予約を済ませました。大学生協の問い合わせフォームからは「1ヶ月以内にある破産管財人からの連絡を待つように」という自動送信のメールが来ました。

コマエ写場で予約していた女性
「コマエ写場さんって昔からの老舗で、広島の写場としてはとてもメジャーな所だったから、私たちも信用して借りているのに、何の説明もないので、そのあたりは本当に不信感です。本当に信用していたので、それだけにショックですね」

こうした事態を受けて広島市立大学や広島修道大学などでは、学生向けの相談窓口を設けました。

救済措置に乗り出した企業もあります。「フォセット」を展開する「スタジオアイ」は振袖のレンタルなどでコマエ写場に入金し、返金がない利用者を対象に、同等の衣装を無償でレンタルします。

スタジオアイ 相川敏哉 COO
「SNS上でも振袖がないとか、二尺袖がないとか、商品がないとかたくさんのお困りの声を把握しております。出来る限りの支援をさせていただきたく思います」

大進創寫館でも広島市内の5店舗で、コマエ写場で契約した際に支払った料金と同等の衣装を無償でレンタルします。また、成人式の当日、着付けやへアメイクも無償で対応するということです。

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