【シンガポール】海運ONE、産学官連携で業界の課題解決へ[運輸]

ONEはシンガポールや日本の業界関係者らを招いた「コンテナ海運サミット」を開催した=シンガポール湾岸部(NNA撮影)

川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社が立ち上げたコンテナ船事業会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)は、産学官連携でコンテナ海運業界を取り巻く課題の解決に取り組む活動に力を入れている。3日には事業運営会社を置くシンガポールで、同国や日本の業界関係者らを招いた「コンテナ海運サミット」を開催。シンガポールで同様のイベントを初めて開催した。

ONEは業界関係者が交流するプラットフォームを提供することで知見を持ち寄り、イノベーションや世界規模での事業連携、人材育成につなげることを目指している。

この一環として、今年3月に長崎・出島でコンテナ海運サミットを初開催した。今回はこれに続く2回目となる。現地の政府機関や業界団体、シンガポール国立大学(NUS)、東京大学といった両国の大学、長崎市など各方面の関係者が参加した。

会場では脱炭素化や船舶・港湾の次世代技術、サプライチェーン(供給網)の効率化、ESG(環境・社会・企業統治)への取り組みなどをテーマに参加者らが議論した。

船舶・港湾の次世代技術では、人工知能(AI)を使ってリアルタイムで運営を効率化する重要性を指摘する声が挙がった。サプライチェーンの効率化では、学術研究の方法論を航路策定や収益管理に生かす上で産学連携を促すべきだとの意見があった。

ONEのジェレミー・ニクソン最高経営責任者(CEO)は、「当社の中核事業はコンテナ船を効率的かつ安全に運航することだ。温室効果ガスの排出原単位(特定の活動量当たりの二酸化炭素=CO2=排出量)が業界内で最も少ない企業となることも目指している。これには業界関係者との連携が欠かせない。今回のサミットを通じて業界のベストプラクティス(最適な方法)を模索したい」と語った。

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