三菱重工が「長崎カーボンニュートラルパーク」運用へ 脱炭素開発の加速狙い 既存事業所を拠点化  

「長崎カーボンニュートラルパーク」のイメージ図(三菱重工業提供)

 三菱重工業は7日、長崎地区の既存事業所を、エネルギー脱炭素化に関する技術開発の中心拠点「長崎カーボンニュートラルパーク」として運用すると発表した。長崎造船所や総合研究所長崎地区で既に進めている脱炭素化関係の研究や技術開発を加速させ、事業化、製品化を目指す。
 三菱重工は、グループの二酸化炭素(CO2)排出量を2040年に実質ゼロとする「カーボンニュートラル宣言」を掲げている。長崎地区には開発、設計、製造と機能の異なる拠点が存在し、それぞれで脱炭素化に向けた取り組みが進んでいる。一帯を「長崎カーボンニュートラルパーク」としてアピールすることで、脱炭素化への姿勢を鮮明にし、関連技術の開発を加速する狙い。ただ、新たな設備投資や人員拡充については未定としている。
 具体的には、総合研究所長崎地区で水素製造、バイオマス合成燃料製造、アンモニア燃焼、CO2回収の技術開発を継続して進める。製品化、事業化を見据え、長崎造船所の設計、製造機能を積極的に活用する。
 このうち水素製造技術は、メタンの熱分解により水素を得る次世代製造技術の研究開発が進行中。今後は長崎地区で基礎技術を開発した後、高砂製作所(兵庫県)の発電実証試験につなげる。アンモニア燃焼は、長崎地区の大型燃焼試験炉での燃焼試験を経て、24年度以降に発電所実機での実証試験を計画している。


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