福井県の最低賃金は時給931円、過去最大の上げ幅 2023年度43円アップ、使用者側が譲歩

福井県の最低賃金の推移

 福井地方最低賃金審議会(新宮晋会長)は8月7日、2023年度の最低賃金の引き上げ額を43円とし、時給888円から931円とするよう田原孝明福井労働局長に答申した。引き上げ額は中央審議会が示した目安を3円上回り、最低賃金を時給で示す方式となった02年度以降最大。引き上げ率は4.84%。10月1日から適用される見通し。

 地方審議会は労使の代表各5人と学識経験者ら公益代表の計15人で構成。具体的な引き上げ額を決めた同審議会の専門部会は8月2日から議論を開始し、最低賃金法が定める▽賃金▽通常の事業の賃金支払い能力▽労働者の生計費―の3要素を基に協議した。杉本達治知事から北陸3県(現行石川891円、富山908円)の格差是正を求める異例の要請を受けたこともあり、就労人口の都市部流出を防ぐ観点から地域間格差も検討に加えた。

 専門部会では労使の意見が平行線をたどり、結審は予定していた4日から7日午前にずれ込んだ。専門部会の報告を受けた地方審議会が同日午後に採決、賛成多数で決着した。消費者物価の高騰などを受け、使用者側が最大限の譲歩を示した格好となった。

 中央審議会の目安を上回る決着となったことについて、公益代表の新宮会長は福井新聞の取材に対し「地域間格差は長年の懸案事項だった。今回は知事を含めて多方面から格差是正の要請があり、公益から思い切って格差縮小に向けた提案を行って議論を進めた」と説明した。

 7月末に厚生労働省の中央審議会が示した全国平均の目安は、41円増額の1002円と初めて千円を突破。都道府県3区分のうちBランクの福井県の引き上げ額の目安は40円だった。

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 最低賃金はパートやアルバイトを含む全ての労働者に企業が支払う賃金の下限額で法的強制力がある。答申に対する異議は22日まで福井労働局で受け付ける。

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