横浜流星のプロテスト合格、佐藤浩市は「彼のケジメなんだと」

作家・沢木耕太郎がボクシングを通して「生きること」を問うた傑作小説を、俳優・佐藤浩市&横浜流星のW主演で映画化した『春に散る』。その試写会が8月8日、映画館「TOHOシネマズなんば」(大阪市中央区)でおこなわれ、佐藤と横浜が登壇した。

映画『春に散る』の舞台挨拶に登壇した佐藤浩市(右)と横浜流星(8月8日・大阪市内)

不公平な判定負けをきっかけに渡米した元ボクサー・広岡仁一(佐藤)が、40年ぶりに故郷に戻ってきた。広岡は飲み屋で偶然、同じく不公平な判定負けから一度はボクシングをやめた黒木翔吾(横浜流星)と出会う。仁一に人生初ダウンを奪われた翔吾は、ボクシングを教えてほしいと懇願。やがて2人は世界チャンプを目指し、命をかけた戦いの舞台に挑んでいく。

現役ボクサーを演じるにあたり、トレーニングを積み重ねた横浜は、撮影後にボクシングのプロテストに挑戦。見事、C級ライセンスを取得した。「浩市さんやみなさんに後押しされたのもあったし、撮影後も練習を重ねてたんですけど、とにかく格闘家への敬意を表したかった。それに、この作品にかける思いを証明したかった」と語った横浜。

それを聞いた佐藤は、「『やってみたら?』って。正直、軽さはあったかもしれない。それでも本気で受けるって聞いたとき、あ、こいつのケジメなんだなと。普通に考えたら、この映画を撮る前にプロテストを受ける。理屈として分かりやすいですよね。でも、そうじゃなくて、彼のなかでこの映画に対するケジメの付け方が、それだったんだなって」と語ると、横浜は「そうです、まさに」と大きくうなずいた。

横浜演じる翔吾のミットを受けた仁一役の佐藤は、「ともかくいい音をさせてあげる。『今日、きてるよ!』って。気持ちを盛り上げる。いい音させるために、パンチを受けにいくんです。なかに鉄板みたいなのが入ってて、かなり来るんですよ、衝撃が。肩とかかなり痛くて。これでゴルフできなくなったら、プロデューサーを訴えてやろうって(笑)」と撮影を振りかえった。

それを聞いた横浜は、「その痛みを知っているので、最初はちょっと躊躇しちゃって。やるたびに浩市さんが『本気で来い!』と。でも、痛そうにされているのも見ていたので・・・」と申し訳なさそうな表情を見せつつ、「でも、ミットは信頼関係が成り立たないと絶対できないもの。撮影前に合わせることができ、言葉を交わさずとも心で距離が縮められたような気がするので、ありがたい時間でした」と語った。

フォトセッションでは、肩を組み合い、劇中さながらの師弟関係を見せた2人。佐藤は「お互いに話したわけではないのに、ペアルックのようにゆるゆるパンツです。これで関係がどうか分かるでしょ?」とおどけながらも、「本日はお暑いなか、ありがとうございます。映画はもっと熱いです。最後まで観ていただいたら、もっと大きなお土産のある映画になったと思います」と自信を見せた。同映画は、8月25日から公開される。

映画『春に散る』

2023年8月25日公開
監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市、横浜流星、橋本環奈、窪田正孝、山口智子
配給:ギャガ

© 株式会社京阪神エルマガジン社