平和を願い「第九」合唱 「歓喜の歌」を声高らかに

伊藤さん(手前左)の指揮に合わせ「第九」を歌い上げる県民合唱団=長崎市、チトセピアホール

 平和を願ってベートーベンの「交響曲第9番」(第九)を合唱するコンサートが7日、長崎市千歳町のチトセピアホールであった。企画した青雲高卒で米ニューヨーク在住の指揮者伊藤玲阿奈(れおな)さん(44)がタクトを振り、約130人の県民合唱団が「歓喜の歌」を声高らかに響かせた。
 ウクライナ出身のピアニスト・パヴェル・ギントフさん(39)と県オペラ協会の歌手ら4人をソリストとして迎え、公募した合唱団とコラボ。伊藤さんが渾身(こんしん)の指揮で、美しく迫力に満ちた演奏を調和させ、観客から大きな拍手を浴びた。
 伊藤さんは「聴力を失い過酷な運命を背負ったベートーベンが幸せにあこがれ『すべての人がきょうだいとなる』と願って作った曲。意味を理解し、完璧に表現してくれた歌声に感動し、涙をこらえながら指揮した」と振り返った。
 ギントフさんは「みんなが音楽を好きならばそこに暴力や戦争はないはず。原爆が投下された8月9日を前に、長崎で音楽を共有でき、意義深い」と感想を述べた。

© 株式会社長崎新聞社