大学生が国際ライセンス 富山福祉短大、災害対応で初 緊急時、有益な人材育成 取得へ取り組み

システムを学ぶ学生=射水市の富山福祉短大

 富山福祉短大(射水市)は8日、看護学科の2年生を対象に、災害などの緊急事態時、迅速に対応できるよう米国で設けられた現場指揮システム「インシデント・コマンド・システム(ICS)100」の国際ライセンス取得を目指した取り組みを始めた。緊急時の初動対応や限られた資源を有効活用するための知識を身に付けることが期待され、万一の際に活躍できる人材の育成につなげる。同ライセンスの取得に取り組むのは全国の大学で初めてとなる。

 ICSは、災害や事件・事故の現場における指揮系統や管理手法を標準化したもので、1970年代に米カルフォニア州で発生した大規模林野火災がきっかけに整備された。現在は火災や地震、テロなどが発生した際、警察や消防、自治体が一緒に活動するシステムとして運用されている。国内では2011年の東日本大震災で、米軍が展開した「トモダチ作戦」について同システムを活用したことで注目された。

 福祉短大の看護学科では以前から国際・災害看護の授業を設けるなど「社会で活躍できる人材の育成」に力を入れてきた。その中で学生に対し、災害などの緊急時に率先して活動できるようになってほしいと考え、ICSについて学ぶことにした。

 授業には学生79人と教員6人が参加。同システムを全国に広げる活動をするネクセライズ(東京)の高橋昌宏防災士が講師を務め、参加者が災害の種類やシステム運営に必要な知識を身に付け、最後に試験を受けた。高橋さんは「災害時にしっかりとしたルールに基づいて行動することで、無駄なく迅速な活動につなげることができる」と伝えた。

 佐藤汐葉さん(19)は「グループワークなどでシステムについて理解を深めることができた」と振り返り、朝倉ヒマリさん(20)は「日本は地震が多いので、今回学んだことを災害時に生かしていきたい」と述べた。

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