●新聞がポストにたまり「おかしい」/室内で倒れた女性発見
富山新聞販売の高岡西センター配達員、塚田庄秋(しょうしゅう)さん(67)が、高岡市福岡町の配達先で新聞がたまっていたことに異変を感じ、家の中で倒れていた90代の女性を救助した。女性は市内の病院に救急搬送され、現在入院中。塚田さんは「これからも地域の安心安全の活動に貢献したい」と、見守り活動への思いを新たにしている。
塚田さんによると、女性を救助したのは3日で、数日前から朝刊がポストにたまっていたことに「おかしい」と感じた。これまでに一度もなかったことで、朝刊を配り終えた後に気になって再び女性宅を訪れた。
呼び鈴を押しても応答はなく、玄関のカギは開いていた。扉を開けると、熱気が充満。気配を感じ、呼び掛けながら居間に向かうと、女性が布団を敷かず倒れるように横になっていたという。
呼吸はしていたが、揺さぶっても反応がなく、塚田さんは熱中症を疑い、すぐ119番通報した。救急隊員が駆け付ける間も声を掛け、女性が少し意識を取り戻すと、コップで水を飲ませるなど介抱を続けた。
3日の高岡市内の気温は午前8時に32.7度、午後零時過ぎには38.0度にまで上がり、熱中症警戒アラートが発表中だった。家の中はクーラーが動いておらず、窓も閉まっていた。女性は少しずつ会話できるようになり、「クーラーの使い方が分からない」と話していたという。塚田さんは「異変に気づけて良かった」と胸をなで下ろした。
●高岡市と販売店13年に連携協定
高齢者の見守りに関し、高岡市と同市内の富山新聞販売店は2013年に連携協定を結んでいる。
市内の高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)は33.7%で、3人に1人はお年寄りとなっており、1人暮らしも増えている。
高齢者福祉を担当する高岡市福祉保健部の戸田龍太郎部長は「地元に密着した配達員のおかげ。地域全体での声掛け、見守りがますます重要になってくる」と話した。