シャクヤク生産拡大へ 富山・上市の生産者ら組合設立、省力化システム実証

県薬用植物指導センターで咲き誇るシャクヤク=5月

 上市町のシャクヤク生産者らでつくる町薬用作物生産組合が8日、設立された。県や町などと連携してシャクヤクの生産を拡大し、産地としての確立を目指す。設立総会が同町広野の県薬用植物指導センターであり、栽培面積の拡大や栽培管理の省力化システムの実証などに取り組むことを決めた。

 シャクヤクの根には鎮静効果があるとされ、「葛根湯」などの漢方薬に広く用いられるが、国内では原料のほとんどを中国産に依存している。ただ近年、中国国内での需要の高まりなどから原料価格が上昇。日本では国産に転換する動きが出ており、県も生産拡大に力を入れている。

 町も生産を奨励し、昨年度にはシャクヤクを町花に加え、種苗購入など栽培にかかる費用を補助する制度を創設した。県内の技術指導の中核を担う県薬用植物指導センターが地元にあることもあり、生産者らが組合を設立することにした。

 生産組合は9経営体でつくり、作付面積は計73.8アール。8日の設立総会は生産者と県や町、JAアルプスの担当者が出席した。県の中山間地農業支援事業を活用し、栽培管理の省力化システムの実証のほか、収穫用の機械を導入する事業計画を決めた。

 会長に同町砂林開の兼業農家、碓井秀臣さん(44)が就き「生産拡大に取り組む」と抱負を述べた。中川行孝町長と三輪聡JAアルプス代表理事組合長があいさつした。

 シャクヤクは収穫まで4年かかる。町長は既存の補助制度に加え、出荷時期の4年後を見据え、同センターの乾燥施設の利用料への支援も検討するとした。

シャクヤク産地としての確立を目指して設立された生産組合の総会

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