別府市の大分香りの博物館、調香体験が人気 来館者の半数が体験【大分県】

香水作りを楽しむ参加者=別府市北石垣の大分香りの博物館
香水作りを楽しむ家族連れ
スタッフ(右端)の指導を受けながら調香体験をする参加者
調香に使用する液体の素材

 【別府】別府市の大分香りの博物館で、自分だけの香水を作る「調香体験」が人気を集めている。2008年度には約3400人だった体験者数は22年度に1万7497人まで増加。来館者の2人に1人が調香している。

 博物館は「香り」をテーマに資料約3600点を展示する。調香の専用スペースがあり、素材となるオリジナルの香り(16種類)を自由に組み合わせ一本の香水に仕上げる。「博物館」で調香できるのは全国的にも珍しいという。

 博物館では揮発する速さで香りを3区分(トップノート、ミドルノート、エンドノート)に分類。各区分から1種類を選び三つを配合する。他の香りを微調整として加え、世界に一本しかない香水(30ミリリットル)を作り上げる。

 7月上旬、親子、友人同士、家族連れなど6組13人が参加した。友人と調香に挑戦した福岡市の楠原さつきさん(36)は「自分好みのものができた。日常使いとして利用したい」。4人家族で参加した山口県下関市の来栖真珠さん(34)は「それぞれ違う香水を作り楽しかった」と笑顔を見せた。

 調香体験は来館者数をけん引する。07年11月にオープンし、翌08年度の来館者は約1万8千人。オープン当初、調香するのは訪れた人の2割弱だった。

 その後、調香を目的に訪れる客が増え、新型コロナウイルス禍の22年度は過去最高の3万8268人が来館。最近はほぼ5割が調香を希望している。博物館によると、コロナ以降、県内客が増えたことが特徴。コロナが落ち着いた最近はインバウンド(訪日客)が増加傾向という。

 学芸員である大津留聡課長(39)は「長年、親子向けの教室や出張体験などを開いてきたことで、博物館を身近に感じてもらえているようだ。暮らしの中に香りを上手に取り入れようという社会的な意識の定着も後押ししているのでは」と分析する。「これからも別府の観光浮揚につながるよう少しでも貢献したい」と話している。

     

<メモ>

 香り体験は1日4回。予約が必要。作るのはオードトワレ。7月には初めて三つの新しい香調を加え、選択肢が増えた。体験料は1人2500円(入館料500円が別途必要)。問い合わせは博物館(0977.27.7272)。

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