木製の「人車製薬機」機械遺産に認定 滋賀・栗東の大角家住宅に保存

機械遺産に認定された人車製薬機(滋賀県栗東市六地蔵・大角家住宅)=栗東市教育委員会提供

 旧和中散本舗で知られる滋賀県栗東市の大角家住宅(国の重要文化財)に保存されている木製の人車製薬機が、日本機械学会の「機械遺産」に選ばれた。大陸伝来と考えられるという足踏み式で人間を動力源にしており、機械技術の発展の歴史を語る貴重な資料だと評価された。認定式が「機械の日」の7日に東京であった。

 市教育委員会によると、同住宅は江戸時代に胃腸薬の和中散などを製造販売して全国に名をはせた。人車製薬機は直径約4.3メートルあり、1831(天保2)年に設置。大人2人が歩いて動輪を回し、その力を歯車で石臼に伝えて薬草をすりつぶす仕組みで実演販売も行われたという。

 同学会によると、現存する足踏み動力機械でも歴史が古く、実演販売に関しては広告媒体としての役割もあったとされる。

 機械遺産の選定は2007年から始まり、県内での認定は6件目で市内2件目。竹村健市長は「秋には旧和中散本舗の特別公開も予定されており、ぜひこの機会に訪れてほしい」と話している。

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