長崎原爆きょう78年 被爆者代表、式典参列へ 「平和への誓い」予定通り実施

被爆78周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典

 長崎市は78回目の「長崎原爆の日」となる9日、尾上町の出島メッセ長崎で午前10時45分から「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」を執り行う。台風6号の長崎県接近を受け、参列を主催者の市関係者だけに初めて限る。首相や各国大使らの招待をやめ、被爆者や市民の一般参列はできない。式典の様子はテレビやユーチューブで中継し、国内外に核兵器廃絶と恒久平和への願いを発信する。
 市は6日、平和公園(松山町)からの会場変更を決定。式次第や参列者、会場レイアウトなどを調整し、実施要領を8日発表した。
 市は参列者数を最大45人と想定。鈴木史朗市長と副市長2人、教育長、市議会議員(定数40)に加え、被爆者代表として「平和への誓い」を読む工藤武子さん(85)=熊本市=が参列する。小学生や高校生の合唱はなく、当初予定より10分早い午前11時35分に閉式する。
 鈴木市長は、この1年に死亡が確認された被爆者と「被爆体験者」計3314人の原爆死没者名簿3冊を奉安。累計は19万5607人分となる。被爆者健康手帳を持つ全国の被爆者は3月末で11万3649人、平均年齢は85.01歳。
 献水や献花の後、原爆がさく裂した時刻の午前11時2分に黙とう。鈴木市長は平和宣言で「核抑止依存からの脱却」を訴える。参列を見送った岸田文雄首相と大石賢吾知事が寄せたビデオメッセージも流れる。
 会場変更や規模縮小は、参列者の安全確保が目的。9日は県内各地の平和集会や追悼行事の多くも中止となる。

平和祈念式典の会場だった平和公園。大勢の人が訪れ、祈りの鶴が供えられていた=8日、長崎市

© 株式会社長崎新聞社