核ごみ「全国民の問題」 北海道・寿都の女性訴え 原水禁長崎大会分科会

北海道寿都町に住む三木さんの話に耳を傾ける分科会の参加者=長崎市茂里町、長崎新聞文化ホール・アストピア

 長崎市内で開かれていた原水爆禁止日本国民会議(原水禁)系の世界大会・長崎大会は8日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)をテーマにした分科会を開いた。最終処分場の選定調査を受け入れた北海道寿都町に住む女性がオンラインで参加し「この問題は寿都町民だけが苦しみ、押しつけられるものではなく、全国民の問題」と強調した。
 政府は地下300メートルより深い場所に核のごみを埋設し、数万年間、人間の生活環境から隔離する地層処分を計画している。処分場選定の第1段階となる文献調査を受け入れた自治体などには最大20億円が国から交付され、北海道の寿都町と神恵内村で実施中。対馬市でも受け入れ議論が進む。
 NPO法人・原子力資料情報室の高野聡研究員は、受け入れの権限は自治体の首長にあるとして「交付金目当ての首長が、勝手に応募できるような制度になっている」と批判。「構造的に地域の分断が発生しやすい」と指摘した。
 寿都町で調査に反対する住民団体の三木信香共同代表はオンラインで、賛否を巡り地域で起こった分断の事例などを紹介。「(調査反対を)口にすることがタブーになっているのが現状」とし、「確実に分断は起き、住みづらく息苦しい。早くもとの寿都に戻れるようこれからも活動したい」と涙ながらに語った。
 別会場であった「女性交流のひろば」では、分科会に続き、対馬市の反対派団体の上原正行代表が講演。6月に市議会へ調査受け入れに賛否などの立場から複数の請願が提出された経緯などを説明した。長崎市高平町の水本勝子さん(81)は「今後、経済的に疲弊した自治体がお金と引き換えに狙われるおそれがある。全国で危機感を持つべき」と感想を話した。

© 株式会社長崎新聞社