人間の鎖で鎮魂と決意 全国各地の高校生らが早朝集会 長崎自治労会館

「人間の鎖」をつくり、核兵器廃絶と平和な世界の実現を願う高校生ら=午前7時2分、長崎自治労会館

 台風6号接近の影響により、いつもとは違った形で迎えた9日の「長崎原爆の日」。原爆犠牲者を悼む行事の多くが中止となったが、一部のイベントは安全を確保した上で開催し、核兵器のない世界の実現を誓った。
 高校生1万人署名に取り組む高校生や全国各地の高校生平和大使らが、長崎市大黒町の長崎自治労会館で早朝集会を開いた。例年は同市松山町の爆心地公園にある原爆落下中心地碑を囲む「人間の鎖」。この日は高校生ら約50人が室内で取り組み、核兵器廃絶と平和な世界の実現を願った。
 台風の影響による開催場所変更は初めて。参加者は爆心地公園の方角に設置された台に折り鶴を奉納し献花をした。
 高校生は、手をつないでつくった二重の「鎖」を高く掲げ、内側を向いて「原爆犠牲者への鎮魂」を、外側を向き「未来への決意」をそれぞれ表現した。
 高校生平和大使による決意表明では、県立長崎北陽台高2年の杉原絢乃さん(16)が「広島、長崎で奪われた人たちの命を絶対に忘れずに活動していく」、熊本県の九州学院高2年の嶌村理彩さん(16)が「事実の裏側にある被爆者の思いに寄り添う」などと誓った。
 「人類が再度、広島、長崎の惨禍を繰り返さないため、核兵器廃絶を日本中、世界中に広げよう」と、県立諫早高3年の高川紗希さん(17)が平和宣言を読み上げ、締めくくった。

© 株式会社長崎新聞社