期待外れになってしまった「チェルシーユースの天才選手」9名

近年アカデミーの拡充によってイングランド屈指の育成組織を備えるようになったチェルシー。メイソン・マウントやリース・ジェームズなど多くのタレントを輩出してきた。

2009年から2018年の間にFAユースカップを7回制覇した実績を持っているアカデミーであるが、そこで「天才」と呼ばれた選手が常に成功したわけでもない。

今回はそんなチェルシーのアカデミーで大きな期待を受けた選手たちを振り返ってみよう。

ジェイコブ・メリス

現在:引退

チェルシーは2009年に16歳のジェイコブ・メリスを100万ポンドでシェフィールド・ユナイテッドから獲得した。そして19歳でチャンピオンズリーグに出場し、大きな期待を集める存在となった。

ただそれ以降サウサンプトンとバーンズリーへのローン移籍を経験し、さらに2012年にはチェルシーの練習場で発煙弾を撃つというトラブルを起こして解雇されてしまった。

それからは様々なクラブを転々とする存在となったが、昨年怪我のために現役引退。選手時代を通じてアルコール依存症に悩まされており、6月には「ホームレスになった」と明かしていた。

ケネス・オメルオ

現在:カズムパシャ

2012年にスタンダール・リエージュの下部組織からチェルシーへやってきたナイジェリア人ディフェンダー。ただ、それから彼はチェルシーで一度もプレーしていない。

ADOデン・ハーグ、ミドルズブラ、カズムパシャ、アラニヤスポル、レガネスとローン移籍を繰り返し、2019年に退団。それからはレガネスに買い取られたが、今年古巣のカズムパシャに移籍している。

そのようなキャリアではあるがナイジェリア代表ではADO時代から招集されており、60試合に出場してきた中心的な存在だ。

ヤン・シェベク

現在:不明

2009年にFKタホフからチェルシーに加入したチェコ人ゴールキーパー。ペトル・チェフの後継者として期待され、198cmという大柄な体格を備えていた。トライアルでアーセナルを相手に無失点だったことが高く評価されたと言われる。

2009-10シーズンのリザーブリーグではゴールを決めるなどインパクトも残したが、2011年にチェルシーを離れてFKヤブロネツへと移籍。それから2015年まで所属していたが、それ以降の消息は不明となっている。

ガエル・カクタ

現在:アミアン

RCランスからチェルシーがガエル・カクタを獲得したとき、彼はまだ15歳だった。それだけ有望な選手だったわけだが、ランスはその取引が違法であるとしてFIFAに提訴。それが認められチェルシーには補強禁止処分を言い渡した。

チェルシーの下部組織ではその価値を示すように活躍したものの、18歳のときには両足を骨折する大怪我を負い、トップチーム昇格後もわずかな出場機会しか与えられず。様々なクラブにローン移籍したあと退団し、多くのチームを渡り歩くジャーニーマンとなっている。

トマーシュ・カラス

現在:無所属

シグマ・オロモウツのユースで育ち、16歳でトップチームにデビューした天才ディフェンダー。2010年にはチェルシーと契約したが、プレミアリーグでプレーしたのは2013-14シーズンの2試合のみである。

フィテッセやケルン、ミドルズブラ、フラムへとローンを繰り返し、2018年に貸し出されたブリストル・シティで完全移籍。それからはイングランド2部で戦ってきたが、今夏契約満了で退団している。

イジー・ブラウン

現在:引退

2014年のプレシーズンツアーで、ジョゼ・モウリーニョ監督は「ルイス・ベイカー、イジー・ブラウン、ドミニク・ソランケが数年後に代表選手にならなければ、自分を責めなければいけない」と語っていた。

ベイカーとソランケはそれなりにトップリーグでやれている一方、イジー・ブラウンは怪我に見舞われたことで対照的になった。2021年にチェルシーを離れてプレストンに移籍したが、一度も出場できずに26歳で現役引退を余儀なくされている。

マテイ・デラーチ

現在:ホーセンス

現在30歳になったGKデラーチ。2009年にインテル・ザブレシッチでデビューし、16歳と186日というクロアチアリーグ最年少出場記録を更新。しかもPKをセーブしてマン・オブ・ザ・マッチに選ばれ、そのままレギュラーに定着した選手だ。

ただ2010年にチェルシーへと加入してからは9つものクラブにローン移籍することになり、実に8シーズンに渡って修業を続けるというキャリアを歩む。チェルシーでは一度もプレーしないまま2018年にデンマークのホーセンスへと移籍している。

マイケル・ウッズ

現在:サウス・シールズ

16歳の時、リーズ・ユナイテッドから500万ユーロもの移籍金で獲得されたマイケル・ウッズとトム・タイウォ。ウッズは2007年にFAカップでデビューを果たし、チェルシー史上4番目に若い初出場を記録した。

ただ一連の怪我によってチェルシーでのキャリアは妨げられ、2011年夏に退団。その後はイングランドの下部リーグを渡り歩き、昨年からは6部のサウス・シールズに所属している。監督はあの名選手フリオ・アルカだ。

トム・タイウォ

現在:引退

マイケル・ウッズとともに500万ユーロでチェルシーに加入したMF。タフなタックルと情熱的なプレーをする選手だと評価を受けたものの、なんとアカデミーの試合に初出場する2日前に足を骨折してしまう。

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その後も大きな怪我に悩まされることになり、2010年に19歳でチェルシーから放出される。その後カーライル・ユナイテッドやハイバーニアン、フォルカークなどで活躍を見せたものの、結局怪我の連鎖に勝てず2019年に29歳の若さで現役を引退した。

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