長崎・創成館 狙い通りの「先行逃げ切り」 第105回全国高校野球選手権 第5日

【2回戦、星稜-創成館】先発で4回無失点と力投した創成館の福盛=甲子園

 全国高校野球選手権大会第5日は10日、甲子園球場で3試合が行われ、長崎県代表の創成館は2回戦で星稜(石川)を6-3で下して、夏の甲子園で初の3回戦進出を決めた。長崎県勢の初戦突破は4大会連続。北海(南北海道)、初出場の浜松開誠館(静岡)は2回戦に進んだ。

 創成館は初回、押し出し四球と暴投で2点を先行すると、二回も1死から福盛の右前打を足掛かりに、永本の右前適時打と敵失、暴投などで4点を追加。序盤で6-0と大きくリードした。守っては先発福盛が4回を3安打無失点の好投。五回からは村田、永本と継投して、終盤の星稜の反撃をしのいだ。

【2回戦、星稜-創成館】2回裏創成館1死満塁、永本が右前適時打を放つ=甲子園

◎序盤6得点 福盛4回無失点

 狙い通りの「先行逃げ切り」で創成館が星稜(石川)を撃破した。相手エースの荒れ球を徹底的に見極めて、二回までに長崎大会のチーム1試合最多5得点を上回る6得点。その後は分厚い投手リレーと鍛え抜かれた堅守で反撃を断った。「しぶとく、粘り強く、うちらしい守り勝つ野球ができた」。稙田監督の声が弾んだ。
 相手右腕を「2ボールになれば7、8割は四球」と分析。三振覚悟でゾーンを絞った。初回に先頭川﨑が四球で出塁した後にバントを失敗したが、続く松﨑の一打が流れを呼んだ。制球難で仕掛けるのは難しいはずのエンドランを、見事に中前へ決めて一、三塁。後続の連続四球や暴投での先制につなげた。
 投げては先発福盛が4回無失点。味方の援護で精神的に余裕を持って好投した。三回は高めに伸びる直球と縦に大きく割れるカーブで2者連続三振を奪うなど、大振りしてきた打者を文字通り緩急自在に翻弄(ほんろう)した。
 2番手以降の村田と永本の粘投はバックが鉄壁の守りでサポート。五回は遊撃川﨑がイレギュラーのゴロを難なくさばけば、左翼で途中出場の馬渡は八回に大飛球を好捕した。無失策で「守り勝つ」を体現した。
 これで県勢は4大会連続で3回戦進出。次は2007年の長崎日大以来となる8強入りを懸けて、いなべ総合(三重)-沖縄尚学の勝者と対戦する。捕手山下が謙虚な姿勢を保ちながら、力強く言い切った。「自分たちは決して力はない。挑戦者の気持ちでやるだけ」。ライバルたちの思いも背負って、ひた向きに壁を越えにいく。


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