「苦しむ人助けたい」 4年伸ばした髪を寄付 医療用ウイッグに 茨城・日立市立水木小の山田君

ヘアドネーションのために髪を切る山田良太君=日立市大みか町

病気や治療で髪を失った子どもたちに医療用ウイッグ(かつら)を寄付する「ヘアドネーション」に役立ててもらうため、茨城県日立市の市立水木小6年、山田良太君(12)が約4年間伸ばしてきた髪を切った。「苦しむ人を助けたい」と周囲のからかいをはねのけ、髪を伸ばし続けてきた。良太君は「今後もやっていきたい」と話した。

良太君が髪を伸ばし始めたきっかけは、テレビで放映された小児がん特集だった。両親から、治療の影響で髪を失ってしまうことや、4歳の時に肺がんで亡くなった祖母も髪を失い医療用ウイッグを必要としていたことを聞き、良太君は小学2年の春から髪を切らずに伸ばした。

当初は同級生などからからかわれたという。途中で何度か伸ばし続けるのをやめようとも思ったが、「人の役に立ちたい」と継続した。友達にヘアドネーションに関して説明することで、次第に周囲の理解も進んだという。

父親の良昭さん(49)は「同級生からからかわれて、つらそうだった」と振り返る。良昭さんは良太君に協力し、週3~4回あるミニバスケットの練習や試合の際に、髪の毛を団子状にまとめるなどした。約4年間伸ばした息子を「我慢強くやった」と諦めない姿勢をたたえた。

寄付に必要な長さの目安となる31センチ以上を超えたため、髪を切ることを決意。今月7日に、同市大みか町の美容室「アレンジ」を訪れた。髪を八つのブロックに分け、束ごとにカット。良太君は緊張した面持ちで見守った。

髪の束は40センチを超えており、良太君は「かなり軽くなった。バスケもしやすそう」と満面の笑みを見せた。切った髪は医療用ウイッグを製作している団体に寄付する予定で、「医療用ウイッグを待っている人に早く届けたい」と話した。

40センチ超の切った髪の束を持つ山田良太君

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