戦禍逃れたウクライナ出身のグリェブさん 平和願い、チェロ演奏 茨城・牛久で25日コンサート

グリェブさん(右)と練習するキッズオーケストラ=牛久市柏田町

■小学生オケ共演

ロシアによる侵攻の戦禍を逃れて来日したウクライナ出身のチェロ奏者、トルマチョヴ・グリェブさん(29)が、音楽を通じて地域住民と交流を深めている。茨城県牛久市内の小学生を中心とした「ひたちのキッズオーケストラ」に加わり、25日に市内で開かれるコンサートに向け一緒に練習している。

グリェブさんはウクライナ東部のハルキウ出身。国内のオーケストラで活動してきた。チェロについて「人の声に近い音が大好き」と笑顔を見せる。

爆撃で市街地や博物館などが破壊され、侵攻が長期化する中、同県つくば市に住む妻の姉を頼って今年2月に夫婦で来日。知人を介して、キッズオーケストラを立ち上げたピアノ奏者で牛久市在住の水谷充代さんと知り合った。

今月6日、市中央生涯学習センターで全体練習が行われた。小学4~6年生約20人が集まり、トロンボーンやフルート、バイオリンなど各パートの仕上がりを確認。ベートーベンの交響曲第9番や、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」、ドキュメンタリー番組「情熱大陸」のテーマ曲などを次々に響かせた。

この日はゲスト出演のオペラ歌手、関定子さん(ソプラノ)も加わった。グリェブさんも子どもたちの演奏に耳を傾け、身ぶり手ぶりを交えて助言した。

同オーケストラの「平和を願うコンサート」は25日午後1時半から、同市柏田町の市中央生涯学習センター文化ホールで開かれる。入場無料。

水谷さんは「少しでも良い演奏になるように集中して取り組んでいる。平和への願いが世界に届くよう、会場で応援してほしい」と来場を呼びかけている。

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