故人しのぶ 悲哀の舞/八戸で墓獅子

浮木寺墓地で故人をしのび演じられた「墓獅子」=14日午後、八戸市鮫町

 青森県八戸市鮫地区に伝わるお盆の伝統行事「墓獅子」が14日、同市鮫町の浮木寺墓地で行われた。墓参りに訪れた人々は、太鼓や笛の音、掛け歌に合わせて墓前で悲しげに舞う獅子に思いを託し、故人をしのんだ。

 墓獅子は、200年以上前から伝わる鮫神楽の演目の一つ。地元の鮫神楽連中が毎年8月14、15の両日、墓参者らの求めに応じて舞っている。14日は、雲が広がるあいにくの天気の中、鮫神楽連中の11人が墓前で舞を披露した。

 「恋しき人を来て見れば 見るよりはやくしぼる袖かな」などと、生者と死者が互いを思う歌が響く中、獅子は小刻みに体を震わせながら袖で涙を拭うなどして悲しみを表現。訪れた人々は、歌を口ずさみながら手を合わせた。

 最近亡くなった同級生の供養に訪れた同市の上平昭一さん(67)は「さみしいが、供養してもらえてありがたい。(墓獅子を)伝承してもらいたい」と話した。

 鮫神楽保存会の柾谷伸夫会長は「墓獅子はここにしかない伝統。大切に守っていかなければならないと改めて思った」と語った。

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