チェルシーの“悪用”を回避? プレミアリーグが移籍金の分割払いを制限へ

写真:今夏チェルシーと8+1年契約を結んだカイセド ©Getty Images

イギリス『デイリーメール』電子版によると、「チェルシーが悪用しているファイナンシャル・フェアプレーの抜け道」を塞ぐことをプレミアリーグが検討しているという。

チェルシーは8月14日、ブライトンから英国史上最高額となる移籍金総額1億1500万ポンド(約212億5970万円)でエクアドル代表MFモイセス・カイセドを獲得した。彼の契約は8年契約となっているが、チェルシーが5年以上の契約を結んだ選手は22人にも上るという。

選手にとって有益な長期契約だが、クラブにとっては移籍金を長期間にわたって分割払いすることで、ファイアンシャル・フェアプレー違反を回避することにつながる可能性があるという。

こういった事情を鑑み、UEFA(欧州サッカー連盟)は今夏、移籍金の分割払いに5年間の制限を設けた。分割払いは可能だが、5年以内に支払いを終えなければならないというものだ。一方、プレミアリーグでは現状、そのような制限は設けられていない。チェルシーは今季ヨーロッパの大会へ出場しないため、UEFAの制限に何ら影響は受けないという状況だ。

チェルシーは2022年5月、アメリカ人実業家のトッド・ベーリーによって買収された。以来、ベーリーは移籍市場に多額の資金を投入しており、昨夏には額面で6億ポンド(約1109億1450万円)以上を費やした。

一方で、獲得した選手の大半が7年あるいは8年の契約であり、移籍金を分割払いにしているため、昨夏に実際に支払ったのは1億ポンド(約184億8780万円)程度だったという。こうした方法はアメリカでは一般的に行われているもので、ベーリーはそれをチェルシーでの補強に流用したものと考えられる。

『デイリーメール』電子版によると、こうした手法の異常性について複数のクラブからプレミアリーグに問題提起がなされており、今シーズンの株主総会において、来夏の規則変更について議論される可能性があるという。実際にはUEFAの新しい規則に合わせ、分割払いに5年間の制限を設ける方向で話し合われる予定のようで、これが実現すれば、チェルシーは今後の契約において移籍金を5年以内に払い終わらせなければならず、ファイナンシャル・フェアプレーにより留意しながら立ち回る必要に迫られることになる。

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