茨城県内 物流施設 立地相次ぐ 大型化が加速

グッドマンジャパンが完成させた物流施設=常総市むすびまち(同社提供)

ネット通販の拡大を背景に、茨城県内で物流施設の立地が相次いでいる。施設は大型化が進み、首都圏で1年間に建設される総面積は、3年前の約2倍に増加。中でも交通の利便性から首都圏中央連絡自動車道(圏央道)沿線が人気を集める。一方で製造業などに比べると、雇用創出など地域への波及効果は限定的との課題もある。

■多機能化

圏央道の常総インターチェンジ(IC)や常磐自動車道の谷和原ICに程近い場所に、ひときわ大きな建物が立つ。

不動産開発会社のグッドマンジャパン(東京)が手がける物流施設「グッドマン常総」(常総市)がこの夏完成した。主要道へのアクセスに優れ、車で1時間圏内には約1500万人が住む。総賃貸面積約17万4千平方メートルの5階建てで、8月に入り、アパレル大手のアダストリア(水戸市)が同施設3階部分に物流拠点「アダストリア常総DC」を開設した。

国土交通省のまとめによると、県内の物流施設の数は2013年は729で、23年は1151と、10年間で約1.5倍に増えた。

近年は大型化や多機能化が進む。グッドマン常総では業務の自動化のほか、施設内ラウンジにコンビニやWi-Fiを完備するなど働きやすさに配慮。近隣では温浴施設の整備計画が進むなど地域一体型の開発プロジェクトとなっている。

■トレンド

不動産関係者は、物流施設の多機能化や働きやすさを重視するのが現在のトレンドと指摘する。地域一体型の開発により、地域への波及効果を生み出す傾向となっている。

投資家は県南地域に熱い視線を注ぐ。千葉県流山市では開発が進み、「物流施設が飽和状態にある」(不動産関係者)。

物流施設の立地が過度に進むと、入居する企業同士などが地域の労働力を奪い合い、人件費の上昇でコスト増につながりかねない。県内の動向は比較的穏やかで、労働力も確保できるとみられている。

■高い水準

県は工業団地の造成を進めるなど企業誘致に力を注ぐ。つくばみらい市に造成した工業団地「圏央道インターパークつくばみらい」には、日清食品(大阪)やダイキン工業(同)の立地が決まるなど完売した。

世界最大手の事業用不動産サービス会社CBREによると、首都圏で23年に完成予定の大型マルチテナント型物流施設の面積は計約300万平方メートルで、3年前の2倍を超える見通し。24年も高水準を維持するとみられている。

県は圏央道沿線に当たる坂東市の「フロンティアパーク坂東」のほか、ひたちなか市で工業団地の開発を進める。一方で、既存の工業団地では立地施設は物流関係以外が大半を占める。

県の担当者は「地域への経済波及効果などを見て選定している」と話し、用地のニーズとともに地域への影響についても配慮する。

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