沖縄戦の「白梅学徒隊」の経験を語り継いできた故・中山きくさんを追悼する朗読劇が終戦記念日の15日、茨城県鹿嶋市宮中の市中央公民館で開かれた。地元の市民グループ「かりゆしの会」のメンバーが中山さんの体験を中心に製作された絵本「きくさんの沖縄戦」を読み上げ、来場者と共に平和の尊さを再確認した。
中山さんは、沖縄県立第二高等女学校の生徒たちで結成された白梅学徒隊に所属し、野戦病院で負傷兵の手当てなどを行った。語り部として長く活動してきたが、今年1月12日に94歳で死去した。
同会の代表を務める鳥羽千津子さん(69)、広樹さん(46)親子は中山さんと親交があり、活動の一端を引き継ごうと、4月からメンバーを集め、練習を重ねてきた。
この日は5人が登壇。冒頭は華やかに出征していく様子や、英語の授業がなくなったこと、竹やりの練習風景などを伝えた。爆撃の様子は広樹さんが迫力満点に表現した。
その後、約2週間だけの看護教育を受け入隊し、洞窟を利用した〝病院〟に配置され負傷兵の面倒を見たことや、自決していく隊員の様子をリアルに描写した。クライマックスでは、沖縄慰霊の日に祈っていた中山さんの心の中に、亡くなっていった友人の声で「戦争で死ぬのは私たちで最後にして」と聞こえてきて、語り部になる決意をした場面が描かれた。最後は広樹さんの三線(さんしん)の音色に合わせ、同女学校の校歌を歌って締めくくった。
鑑賞した同市宮中の高木清江さん(85)は「鹿島の上空をB29が飛んでいったことを思い出した。平和のために、こうした活動を続けてもらいたい」と願った。鳥羽代表は「きょうの公演が、平和のために何をなすべきか、何ができるかを考える一助になってくれればありがたい」と強調した。