草の根広げ 過ち二度と 長崎で不戦の集い

核廃絶人類不戦の碑に献花する参加者=長崎市平野町

 長崎市平野町の核廃絶人類不戦の碑の前で15日、「ナガサキ不戦の集い」があり、被爆者や高校生など約25人が戦争犠牲者を追悼した。
 終戦の日の8月15日と、太平洋戦争開戦の日の12月8日の年2回開き82回目。参加者は黙とうし、碑に献花した。
 長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(82)は日本の防衛力増強について「軍事費が増大すれば社会保障費が削減され、命や暮らしが脅かされる」と危惧を示し、「戦争体験者や被爆した人は、今の世の中が新しい戦前になっていると思っている。微力な力を大きくし、草の根を広げ、新しい戦前を一つ一つつぶしていくことが重要」と訴えた。
 「長崎の証言の会」事務局長を務め、昨年12月に86歳で亡くなった森口貢さんの息子の森口裕文さん(58)、娘の渡邊尚子さん(51)も参加。裕文さんは生前の父の活動を支えてもらった感謝を述べ「昔の過ちを繰り返してしまうのかという危機感を伝えていくにはこういう草の根活動が大事。微力ながら後世に伝えていきたい」、渡邊さんは「この場に来ると父の力強いいろんな言葉を思い出す」と話した。
 「不戦の誓い」として、活水高平和学習部の引地志歩さん(17)と山田佳音さん(16)は同部で作った平和宣言を読み上げ、「戦争の悲惨さを風化させず、一人一人の尊い命が失われないような平和の世界の実現に向けて平和への思いを伝え続ける」と誓った。

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