勇壮な「龍船」練り歩く 島原・精霊流し

竜の頭と切り子灯籠で飾られた坂上町町内会の精霊船=島原市広馬場町

 300年以上の歴史があるとされる長崎県島原市の精霊流しでは約50隻が流された。
 島原の精霊船は、和紙を貼った多面体の火袋に短冊状の「はかま」や、花をかたどった装飾品などを取り付けた独特の形。午後6時ごろから故人宅や町内の集会所などを出発。担ぎ手が「南無阿弥陀仏」が語源の「ナマイドー」のかけ声を上げ、各地区に設けられた海岸の流し場や陸上集積場まで練り歩いた。
 江戸時代から鍛冶屋などが多く集まり、職人町として知られる坂上町の町内会は約100年前から、仏教の守護神とされる竜の頭を船首にあしらった「龍船」を流している。竜の目が光り、口から白煙を吐く勇壮な姿を、沿道の観客は盛んに写真に収めていた。
 同町町内会長の前田清徳会長(75)は「竜は亡くなった方の霊を西方浄土に導くという。伝統を絶やさないよう続けたい」と話した。 


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