空き家0円譲渡で移住促進 経費も補助、富山・上市町

富山県上市町が運営する「0円空き家バンク」を利用して移住した冨宅康幸さん=7月

 富山県上市町が無償譲渡可能な町内の空き家を登録し、取得希望者に紹介する「0円空き家バンク」を運営している。譲る側、取得する側のそれぞれで発生する諸経費も町が補助する全国でも珍しい取り組みだ。開始以降、県外からの転入者は増えており、移住促進につながる空き家対策として注目を集めている。

 「広くて快適なマイホームに住めて、とても満足している」。自営業冨宅康幸さん(32)はバンクで築73年の古民家を見つけ、昨年9月、京都府から移住した。風呂をリフォームし、費用は補助金で賄った。「町が間に入ったので、安心して手続きを進められた」とも話す。

 提供者には不要品処分費用などとして最大10万円、取得者には引っ越しや手続きにかかる経費を定額50万円補助。県外からの転入で、中学生以下の子どもがいるなどの条件を満たせば、既存の補助金制度から最大345万円も受けられる。経済的負担を抑えられることから「0円」と名付け、2022年度にスタートした。

 町によると、バンクを利用して、これまでに10世帯31人が移住した。

© 一般社団法人共同通信社