八甲田(青森県)の風力計画見直しへ 東京の事業者が方針 計画地6市町は白紙撤回申し入れ

諏訪部社長(左)に意見書を手渡す西市長(右)=16日午後、東京・虎ノ門

 八甲田周辺などの山間部で計画されている「(仮称)みちのく風力発電事業」を巡り、青森市の西秀記市長と十和田市の北舘康宏副市長が16日、事業者の「ユーラスエナジーホールディングス」(東京)を訪れ、事業の白紙撤回を申し入れた。計画地に含まれる「6市町の総意」としての意見書を受け取った同社の諏訪部哲也社長は、意見書の内容や水質調査を基に、事業計画をさらに見直すことを明らかにした。見直し後は地元の首長や住民に説明する方針としている。

 申し入れは、冒頭以外、非公開で行われた。

 冒頭のあいさつで諏訪部社長は「地域の理解を得ずに一方的に事業を進めるということは考えていない」と強調。終了後の取材に、同社は景観や、水源・河川への影響を懸念する声が地元の首長や住民から相次いでいるため、それらの調査を進めていると説明した。調査の結果評価までにはあと数カ月かかる見通しという。

 諏訪部社長は、調査の結果次第では、風車の数や設置場所の変更も見直しの内容に含まれるとの見解を示した。意見書については「非常に重く受け止めており、誠意を持って見直した計画を説明したい」と述べた。

 6首長の代表として意見書を提出した西市長によると、7月にほかの5首長に意見照会したところ、白紙撤回で一致したため、急きょ申し入れに至ったという。「信仰の対象でもある八甲田の環境や景観が壊されるのは非常に問題だと考えている」と断言。月内にも宮下宗一郎知事に今回の意見書について報告し、県にも要望を行う考えとした。

 同社は当初、青森、十和田、平内、野辺地、東北、七戸の6市町にまたがる計画地に最大150基の風車を設置するとしていたが、半分以下の最大71基に見直している。

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