高級魚ウスメバル、不漁 青森・中泊町 資源管理取り組むも… 3年前の半分以下

刺し網からウスメバルを外す漁業者ら。今年は不漁に見舞われている=6月1日、中泊町小泊漁港

 青森県中泊町名産の高級魚ウスメバルが、不漁に見舞われている。6月に始まった主力の刺し網漁が振るわず、6~7月の同町での水揚げ量は3年前の半分以下にとどまった。今期の刺し網漁の漁期が残り2週間ほどとなる中、漁業者は頭を抱えている。

 中泊町はウスメバルの水揚げ量県内一。小泊沖で取れるものは2018年に「津軽海峡メバル」として地域団体商標も取得しており、町を代表する名産品となっている。

 ただ町や、町内にある小泊、下前両漁協によると、一本釣りなども含めた水揚げ量は20年以降右肩下がりとなっている。20年の6~7月が約120トンだったのに対し、21年は106トン、22年は79トン。今年は57トンにまで減少している。

 「今年は刺し網漁に出ても1回当たり5、6匹しか網にかからない日もある」と、ある漁業者。小泊漁協では7月単月の刺し網漁での水揚げ量はわずか4トンで、前年同月の4分の1に落ち込んだ。この流れを受け、同漁協所属で刺し網漁を行っている船14隻のうち10隻程がマグロのはえ縄漁に切り替えたという。

 今月10日に小泊漁港でメバルの選別作業を行っていた50代男性は「去年の3分の1ほどしか取れない上に、サイズも小さめ。今日は5万円ほどの取れ高だが、燃料代は3万円。若い衆(への賃金)のことを考えると、商売にならない」と苦境を訴えた。

 小泊、下前両漁協は資源管理のため、ウスメバルの稚魚の放流を継続的に行ってきたが、今年は稚魚を必要数確保できなかったため、放流を中止した。稚魚を供給している青森産技センター水産総合研究所(平内町)によると、例年は陸奥湾において千匹単位で稚魚が捕獲できるのに対し、今年はわずか30匹しか取れなかったという。同センターは中泊町での不漁について、県内全体の資源量が減少傾向にあることが一因ではないかと見ている。

 両漁協では、稚魚の放流のほかにも禁漁日の設定や、網目を決めて小さいメバルを逃がすなどの取り組みを行ってきた。下前漁協の永坂富士男組合長は「所属する船は資源管理の取り決めを守ってくれている。30年ほど前にも取れない時期があり、そのときはイカ釣りに移行する選択肢があったが」と話した。

 同研究所の佐藤大介研究員は「卓越年級(生まれた魚の個体数が特別に多い年齢群)の発生を待って、それをどう生かしていくかが大切になる」と指摘し、資源管理の継続を訴えている。

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