上げ馬神事、三重県教委が勧告 動物虐待批判、11年以来2度目

多度大社の「上げ馬神事」で土壁を駆け上がる馬=2018年5月、三重県桑名市

 三重県桑名市の多度大社で毎年5月に行われる伝統行事「上げ馬神事」が動物虐待に当たると批判されている問題で、県教育委員会は17日、県文化財保護条例に基づき、馬を威嚇しないよう求める勧告を多度大社に出した。福永和伸教育長が記者会見で明らかにした。県文化財保護審議会が改善を求めていた。多度大社の上げ馬神事に関する勧告は2011年以来2度目。

 県教委は勧告で(1)動物愛護の精神に従い、馬を威嚇する行為を根絶すること(2)人馬共にけがをしないよう徹底した安全管理の下で行うこと(3)神事の実施主体を明確にし、文化財としての在り方を改めて検討すること―の3点を求めた。県教委によると、大社側は今月末をめどに改善策を示すとしている。

 福永教育長は会見で「馬にとって過酷な状況なのは間違いない。今のままのやり方では社会の考えに沿っていないので、しっかりと改善を図るべきだ」と話した。

 上げ馬神事は南北朝時代から続く県の無形民俗文化財で、馬が坂の上に設置された高さ約2mの土壁を越えた回数で農作物の豊凶などを占う。

© 一般社団法人共同通信社