アスク(山形)、印に酒輸出へ 現地企業と業務提携

インド向けの日本酒輸出開始に向け交流を深める(左から)河合克行社長、仲野益美会長とビラッドマンCEO=山形市・パレスグランデール

 米穀類販売業のアスク(山形市、河合克行社長)は17日、インドの酒類製造会社グループと、同国への酒類輸出に関する業務提携を結んだ。国連の推計では中国を抜き人口が世界最多となった同国だが、農産物には厳しい輸入規制を設けている。同国との関係を強化することで、県産日本酒などの輸出に加え、インド向け販路の拡大を検討する全国の酒類メーカーとの取引にもつなげる考えだ。

 アスクが提携を結んだのは、インドでウイスキーの製造や酒類の販売などを手がけるADS社グループ。アスクとADSが日印両国側の窓口となり、日本酒の輸出などを行う。

 アスクは2014年にインドで事業を開始した。米の輸入が難しい同国の日本料理店など向けに、現地で米の栽培と販売を始めた。同国農業の環境改善への貢献なども認められ、規制が厳しい同国への食品輸出入ライセンスも取得した。今年からは、加工食品の輸出を始めており、成長が期待できる分野として酒類の輸出に着目した。

 この日は、ADSのビラッドマンCEOらが来日し、アスク本社で協定を締結した。同市のパレスグランデールでは、県内酒蔵の代表などを招いた交流会も開かれた。席上、河合社長は「日本酒は日本食に欠かせない。成長するインドにはチャンスがある」とあいさつ。日本酒造組合中央会で海外戦略委員長を務める県酒造組合の仲野益美会長(出羽桜酒造社長)は「インドでの日本酒の潜在需要は大きい。品質管理の面でも、米を知るアスクと酒造りを知るADSが関わることはメリットになる」と期待を語った。

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