"ふるさと納税" 栃木県・小山市が人気のワケは?「返礼品めぐり基準変更も」

 出身地やゆかりのある地域を応援しようと、2008年度から始まったふるさと納税制度はすっかり定着し、昨年度(2022年度)の寄付額は全国で1兆円に迫る勢いです。各地で趣向を凝らした返礼品が登場する一方、返礼品をめぐり10月から基準が変わるなどの対応が取られます。

 ふるさと納税の寄付額を栃木県内でみますと、昨年度最も多かったのは小山市で約32億3000万円、次いで佐野市の12億4800万円となっています。小山市が突出して多い理由は返礼品にあります。日用品のティッシュペーパーが返礼品として大人気なのです。

 小山市出井の坪野谷紙業。1980年に創業してから古紙や段ボールの回収が主な事業でしたが、古紙で製品が作れないかと考えボックスティッシュの生産を開始。現在は「エンリッチ」「クラリス」といったブランドがあります。

 地元をPRしようと小山市のマスコットキャラクター「おやまくま」をデザインした製品を開発したところ、小山市からふるさと納税の返礼品として依頼がありました。「おやまくま」の製品をはじめボックスティッシュの返礼品は大人気に。今や返礼品全体の9割を占めるまでになりました。

 坪野谷紙業では、ボックスティッシュだけで毎月600万個を生産しています。坪野谷紙業は「暮らしに身近な商品を自信を持って作っていたところ、さらにふるさと納税として地元に貢献できた。『今できることは何か』と考えて行動した結果だ」とその意義を強調します。

 一方でふるさと納税をめぐっては、物価高の影響で返礼品の値上げの動きが出ています。また返礼品の調達品を含む経費を50%以下に抑制する仕組みが10月から導入されます。小山市では値上げなど「何も決まっておらず検討中」としていますが、ふるさと納税制度を最大限に活用。多くの事業者に返礼品に登録してもらうことで地場産業のPR、活性化につなげたいとしています。

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