津軽線・蟹田-三厩存廃 今別町が全世帯調査へ

 昨年8月の大雨被害の影響で運休が続き、存廃協議が進められているJR津軽線・蟹田-三厩間(28.8キロ)について、青森県今別町の阿部義治町長は18日、東奥日報の取材に対し、町内全約1300世帯を対象に存廃に関するアンケートを行う考えを明らかにした。実施時期は9月中の見通し。JR東日本は鉄路からバス、乗り合いタクシーを組み合わせた新たな交通体系への転換を提案しているが、同町はJRの全額負担による鉄路維持の姿勢で、町民の意見を今後の判断材料にする考えだ。

 同区間の代替交通手段として運行中のバス、タクシー利用者を対象にJR東がアンケートを実施済みだが、同町が主導し行う。

 町総務企画課によると、鉄路復旧やバス、タクシー転換に対する意見を尋ねる内容で、JR東日本や県と詳細を調整中という。

 同町は4、5月に各地区で開いた住民との座談会で津軽線に関する意見を聞いているが、阿部町長は「100%ではない」と説明。「大方の人は鉄路復旧の町の方針に賛成だったが、(復旧後の運営に関する)町の財政負担を心配する声もあった」とし、アンケートの必要性を強調した。

 また、蟹田-三厩間の今別、外ケ浜2町だけでなく、青森市、蓬田村を含めた沿線全体の4市町村の首長が意見交換する場を設けたいとの意向を示した。

 同区間は利用者が少なく、JR東は多額の費用をかけて復旧したとしても十分な活用がされないと判断。自治体の費用負担を前提とした鉄路存続など複数の選択肢を示した上で、バス、タクシーへの転換が望ましいとの意向を両町や県に伝えた。

 JRの全額負担で運行本数を被災前の鉄路の1日5往復から7往復に増やす内容で、外ケ浜町は「鉄路ありきではなく、代替交通への転換も含めて、利便性や町側の財政負担などを総合的に勘案しなければならない」との考えを示している。

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