観光列車「リゾートあすなろ」最終運行 JR東、デビュー当時の青森県内巡る経路再現

最終運行で陸奥湾をバックに走る「リゾートあすなろ」=20日午前、外ケ浜町蟹田
リゾートあすなろの最終運行に合わせ、横断幕を掲げる駅員=新青森駅

 JR東日本の観光列車「リゾートあすなろ」(2両編成)が20日、最後の運行を終えた。この日は新青森駅を出発して津軽半島や下北半島の海岸沿いを回るデビュー当時の経路が再現され、多くの鉄道ファンらが名残を惜しんだ。

 リゾートあすなろは東北新幹線全線開業に合わせて2010年12月、運行を開始。沿線の風景を楽しめる車内展望室の大型の窓が特徴で、人気を集めてきた。当初は新青森を起点に津軽半島や下北半島に向かう複数の経路があったが、近年は八戸-大湊(むつ市)間や岩手県内を不定期に運行。最終日は蟹田、青森、大湊を経由して八戸駅に到着するよう経路を調整した。

 ラストランの「ありがとう リゾートあすなろ号」はほぼ満席の70人を乗せ、横断幕を掲げた駅員や沿線自治体の関係者に見送られながら、午前10時17分に新青森駅を出発。長野県の会社員菊池忍さん(47)は「最後なので車両の雰囲気を味わいたい。長野県には海がなく、展望室から青森の海岸の写真を撮るのも楽しみ」と語りながら列車に乗り込んだ。

 ホームや沿線にはカメラを構えるファンの姿も。外ケ浜町の蟹田駅近くで撮影していた弘前市の男性会社員(28)は「津軽の方へ来ると聞いて、海沿いを走るあすなろを最後に撮りたかった」と話した。

 JR東日本青森支店によると、県内運行分は10年からの累計で13万人以上が利用した。内装などが経年劣化したため、2両編成の2列車をそれぞれ改造し、新たな観光列車「ひなび(陽旅)」「SATONO」にリニューアルする。

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