【AV新法】「今思えばおかしかった」違法動画に出演した25歳女性が告白 逮捕された兄弟の悪質な手口とは?(静岡県)

8月16日、アダルトビデオに出演した3人の20代女性に対し、出演契約書などを交付せずに動画を配信したいわゆる“AV新法”違反の疑いで、静岡県警は滋賀県に居住する41歳の双子の兄弟を逮捕した。

2人が制作した動画に出演した女性は少なくとも150人に及ぶとみられている。このうち、被害を受けた20代女性が静岡第一テレビの取材に応じ、逮捕された兄弟の悪質な手口を打ち明けた。

AⅤ出演被害防止・救済法違反、いわゆる“AV新法”などの疑いで逮捕、送検されたのは、滋賀県大津市に住むアダルトビデオ製作販売業の41歳の男と双子の兄である自称男優の41歳の男だ。

静岡県警によると、2人は2022年11月から2023年5月までの間、アダルトビデオを制作する際に、 出演した20代女性3人に対し法令で定められた説明書や契約書を交付・提供せず、53本の動画をインターネット上に配信した疑いが持たれている。

県警によると、双子の弟(41)が主犯格で、2人はワンデーモデルと称してインスタグラムやTiKTokなどSNS上で全国から出演女性を募っていた。

逮捕された兄弟は、女性から連絡が来るとLINEで連絡をとりあい、スケジュールなどが決まると女性を滋賀県などに呼び出し撮影。出演料として10~20万円を手渡していたという。

関係者によると、逮捕された兄弟は具体的な出演条件について、女性に対し「現場での交渉にしましょう」と事前に伝えていた。しかし実際に会ってからは「顔を出して出演するのは当たり前」「避妊具はつけない」などと言って、迫っていたとみられる。

逮捕された兄弟は、覆面マスクをして交代で動画に出演していて、人気のない立体駐車場やラブホテル、ビジネスホテルなどと転々として1日に複数回撮影に及んでいたという。

これまでに少なくとも150人以上の女性が出演しているとみられ、数千に上る動画を撮影し動画配信サイトに動画をアップロードしていた。

さらに、動画1本あたりの値段は1980~25000円で約1年半の間に少なくとも3億円以上売り上げていたとみられる。配信本数は10万本に上るという。

2022年6月に施行されたいわゆる“AV新法”では契約成立から撮影まで1か月間の期間を置いたうえで、撮影から公表まで4カ月間の期間を置くこと。公表から1年間は無条件で契約を解除できることなどを義務付けていて、出演者が一定の期間の中で契約を無力化できるようになっている。

8月18日、違法な契約で動画を撮られたという大阪在住の25歳女性が静岡第一テレビの取材に応じた。

(被害を受けた25歳女性)

「迎えに来た車は外車。羽振りがよさそうで人柄は悪そうではなく、しっかりとしたイメージだった」

決して悪い印象はなかったと語る女性。

女性が2人に連絡したきっかけはインスタグラム。コロナ禍で金銭的に苦しいときに高収入のモデルを募集していたのが目に入り応募したという。LINEで連絡をした後、アダルトビデオの撮影と知らされたという。

女性は逮捕された兄弟から「海外のサイトだから周りに知られることはない」と言われ、アダルトビデオに出演することになったが実際は違った。動画の公表後、知人からスクリーンショットが送られてきたという。

「どこで見つけたの?と言っても知人が教えてくれなかった。実際にどのようなサイトで自分の映像が公表されているかも知らない」と話す。

女性に対し、容疑者の男から“AV新法”に関する説明も契約書の交付もなかった。女性は「違法だとは知らなかった。今思えばおかしかったなと思う」と当時を振り返った。

女性は警察からの連絡で違法な動画だったことを知った。また、撮影後でも動画を取り消すことができると知り「これまで“AV新法”という法律を知らなかった。今思うと早い段階で引き下がれば良かった。高額収入で顔バレ、身バレしないと謳っているものは信用しない方がいい」と心境を語った。

これまでの捜査で容疑者の2人が契約書や説明書を作成した形跡がないことから県警は余罪があるとみて捜査を続けている。

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