大分工業高の携帯自立型発電機が特許取得 通学路の川に設置へ、改良続ける【大分県】

「DAIKO水車プロジェクト」のメンバーが開発した携帯自立型発電機。右は軽量化した最新型=大分市の大分工業高
アルミなどを使い軽量化した最新型の携帯自立型発電機

 【大分】大分市芳河原台の大分工業高の生徒が取り組む「DAIKO水車プロジェクト」で開発した、水流を利用して発電する「携帯自立型発電機」が特許を取得した。文部科学省や特許庁などが主催する2022年度「パテントコンテスト」で特許出願支援対象となる優秀賞を受賞し、出願に向け準備を進めていた。特許は無償公開する。

 全国の高校や大学などが寄せた521件の中から、優秀賞30件の一つに選ばれた。同校では15年にもパテントコンテストを利用して特許を取得しており、今回で2例目。

 プロジェクトは22年4月に発足。機械、電子両科の1、2年生(当時)10人が、街灯の少ない通学路に小水力発電で防犯灯をともそうと、放課後や夏休みを使い開発を進めてきた。水流をエネルギーに変換し発電する、最大出力が約8ワットのイカダ型水車を製作した。

 その後、特許取得を目指し、水に浮かべるだけでなく自立できるようスタンドを付け、災害時に運べるよう背負うことも可能な携帯用に改良。生徒は弁理士の指導を受けながら、約3カ月をかけ、特許出願書類を書き上げた。今年2月に出願し、7月に登録。8月上旬に特許証を受け取った。

 生徒たちは「少しの工夫で特許を取得できることが分かった。もっと工夫することでさらにいい物になる」と意気込む。実際に通学路の川に設置することを目標に改良を続けている。最新型はアルミなどを使い、3分の1ほどの重さ(3.2キロ)になった。

 山崎隼樹キャプテン(18)=機械科3年=は「特許取得の知らせを聞いたときは驚いた。軽量化と小型化を進め、雨どいでも発電できる水車を作りたい」と喜んだ。

 指導した機械科の佐藤新太郎教諭(45)は「これからも身近な課題に挑戦し、未来をつくる技術が学べる環境を整えていきたい」と話した。

<メモ>

 「DAIKO水車プロジェクト」は、高校生を対象に昨年開催されたSDGs(持続可能な開発目標)の全国コンテストで、最優秀賞に輝いた。ボランティア活動などに取り組む高校生を顕彰する「高校生ボランティア・アワード2023」の全国大会(8月9、10日・東京都)では、特別賞を受賞した。

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