犬の暑さ対策は何月まで必要?空調管理やお散歩時間の調節を意識すべき時期や目安となる気温まで

7~9月は犬の熱中症対策を!

7~9月は犬の熱中症対策が欠かせない季節です。梅雨が明けて本格的な暑さがやってくる7月や8月はもちろん、残暑が続く9月も犬の暑さ対策は必須です。

基本的に外気温が28℃を超えるような時期は、熱中症になるリスクなどが上がると考えてください。また、熱中症は温度だけでなく湿度による影響も受けるため、湿度の高い梅雨はそれほど気温が上がっていないように感じても、注意が必要です。

ただし、暑さへの耐性は犬種差や個体差がありますし、年齢やライフステージによっても異なります。大切なのは、気温や湿度を目安にしながら、愛犬の様子を毎日きちんと観察することです。

愛犬の呼吸が荒くないか、体が熱くなっていないか、よだれを垂らしていないか、食欲が落ちていないかなどをチェックして、体調の変化が見られるようであれば、動物病院を受診するようにしましょう。

閉め切った室内や車内では4~10月も注意

犬の暑さ対策が必須の時期は7~9月としましたが、最近では春や秋でも急激に気温が上がることがあるので注意しましょう。4~10月でも外気温が30℃に迫ることもあるので、そのような日は夏と同様に暑さ対策をおこなう必要があります。

特に、閉め切った室内で留守番をさせる場合や、車に乗せる場合は4~10月でも熱中症になる可能性があると考えておいた方がいいでしょう。

JAFが実施したテストでは、外気温35℃のとき、閉め切った車内は2時間半程で57℃(ダッシュボードは79℃)になったという結果が出ています。エアコン停止から15分で、人間の熱中症指数が危険レベルにまで達しました。

真夏の車内が高温になることは予想できると思いますが、実は春先におこなったテストでも社内温度がかなり上がるということがわかっています。外気温23℃の4月におこなったテストでも、車内温度が48.7℃(ダッシュボード付近は70.8 ℃)にまで達しました。

このように、春や秋でも状況次第では熱中症に陥る可能性があるということをしっかりと意識しておきましょう。

効果的な犬の暑さ対策とは?

ではここからは、夏に効果的な犬の暑さ対策について確認します。人間の暑さ対策とは異なる面もありますので注意が必要です。

散歩は地面の熱が冷めてから

太陽がギラギラと輝く真夏の昼間は、犬の散歩に行こうと思う人はあまりいないでしょう。日差しがきつく、気温もかなり高いので、散歩を控える飼い主さんがほとんどだと思います。しかし実は、日が落ちた夕方以降も注意が必要です。

昼間にたっぷり日差しを受けたアスファルトやコンクリート、マンホールなどの金属部分は、夕方になっても熱が残っていることがあります。散歩に出るときは、一度地面を素手で触り、自分がはだしで歩くことを想像してみて問題がないか確認してみましょう。

散歩中もこまめな水分補給を

30分程度の散歩であれば、犬用の飲み水を持ち歩かないという人も少なくないと思います。しかし、暑い時期は短い時間であってもすぐに水分補給ができるように、水を持ち歩くことをおすすめします。

また、犬の体を冷まそうと氷水を飲ませたり、犬用のアイスやシャーベットを食べさせたりすることも増えるかもしれませんが、冷たいものを与えすぎないように気をつけてください。内臓を冷やしすぎてしまい、嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。

熱中症対策のために水分を与えるのであれば、常温で問題ないでしょう。

室温は犬種や寝床の位置を意識して調整

暑い季節はエアコンを使って室温調節をおこなってください。基本的には室温が27℃程度になるよう設定するとよいとされていますが、犬種や年齢によっても暑さの感じ方が異なるので、愛犬の様子に合わせて調整することが大切です。

また、同じ温度でも、湿度が高いと暑く感じやすいので、湿度は45~55%程度になるようにするといいでしょう。

さらに、エアコンからの冷気は下に溜まりやすいので、人間よりも低い位置にいる犬は体が冷えすぎてしまうことがあります。室温や湿度の調整をするときは、犬がいつも寝ている場所などで一度測ってみることをおすすめします。

まとめ

近年、日本の夏は非常に暑くなっています。外気温が35℃になるのは当たり前、40℃近くなることもめずらしいことではありません。

そのような暑さは、全身を被毛で覆われ、汗をかいて体温を下げることができない犬にとって過酷なものとなります。体調を崩すだけでなく、最悪の場合命さえ落としてしまうこともあるでしょう。

真夏に熱中症・火傷対策をおこなうことはもちろん、気温が一気に上がることもある春〜秋も暑さ対策が必要な場合があると意識しておきましょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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